- 1 1. はじめに
- 2 2. NTFSをサポートする方法(NTFS3 vs NTFS-3G)
- 3 3. NTFS-3Gのインストール
- 4 4. NTFSパーティションのマウント方法
- 5 5. NTFSのアクセス権限設定
- 6 6. トラブルシューティング
- 7 7. FAQ(よくある質問)
- 7.1 7.1 NTFS-3GとNTFS3のどちらを使えばいいですか?
- 7.2 7.2 NTFSドライブをUbuntuでフォーマットできますか?
- 7.3 7.3 「権限が拒否されました」と表示された場合の対処法は?
- 7.4 7.4 「NTFSドライブを安全に取り外す方法は?」
- 7.5 7.5 Windowsで使っていたNTFSドライブがUbuntuでマウントできません
- 7.6 7.6 「Device or resource busy(デバイスが使用中)」と表示され、アンマウントできない
- 7.7 7.7 fstabで設定したのに、NTFSパーティションが自動マウントされない
- 7.8 7.8 NTFSパーティションが「ディスクがいっぱい」と表示される
- 7.9 まとめ
1. はじめに
Ubuntuを使用していると、WindowsのNTFS形式のハードディスクやUSBメモリをマウントしたい という場面が多々あります。しかし、LinuxはもともとNTFSを標準サポートしておらず、そのままでは読み取り専用 になることがほとんどです。
この記事では、UbuntuでNTFSドライブを適切にマウントして読み書きする方法 を詳しく解説します。
1.1 UbuntuでNTFSを扱う必要性
UbuntuユーザーがNTFSを扱うのは、主に以下のようなケースです。
① Windowsとのデュアルブート環境
WindowsとUbuntuを同じPCでデュアルブートしている場合、NTFSフォーマットのパーティションをUbuntuからアクセスしたい ことがあります。特に、Windowsで作成したファイルをUbuntuで編集したり、データを共有したりする場合に必要です。
② 外付けHDD・USBメモリの利用
外付けのHDDやUSBメモリの多くはNTFS形式でフォーマットされています。Ubuntuでこれらを使うためには、NTFSファイルシステムをサポートするソフトウェアを適切に設定 する必要があります。
③ NTFSの利便性
NTFSはFAT32と比べて1ファイルあたりのサイズ制限がない ため、特に大容量のファイルを扱う場合に有利 です。また、Windowsと互換性が高いため、マルチプラットフォームでデータをやり取りする際に役立ちます。
1.2 UbuntuでNTFSを扱う際の課題
LinuxはデフォルトでNTFSの読み取りには対応していますが、書き込みには追加の設定が必要 です。また、Windowsとの間で問題が発生することもあります。
① Windowsの「高速スタートアップ」との相性
Windows 10や11では、「高速スタートアップ」という機能がデフォルトで有効になっています。これが原因で、UbuntuでNTFSパーティションをマウントしようとすると、「read-only(読み取り専用)」になってしまう ことがあります。
この問題を回避するには、Windowsで以下の設定を行う必要があります。
✅ 高速スタートアップを無効化する方法
- Windowsで「コントロールパネル」を開く
- 「電源オプション」→「電源ボタンの動作を選択する」をクリック
- 「現在利用可能ではない設定を変更します」をクリック
- 「高速スタートアップを有効にする」のチェックを外し、変更を保存
この設定を行うことで、WindowsをシャットダウンしてもNTFSドライブがUbuntuで適切にマウントされるようになります。
② NTFSのパーミッション(アクセス権限)
Linuxでは、ファイルシステムごとにパーミッションの管理方式が異なります。NTFSはもともとWindows用のファイルシステムのため、Linuxの標準的なアクセス権(chmod や chown)では管理できない という制約があります。
このため、NTFSのマウント時に適切なオプションを指定することで、特定のユーザーに書き込み権限を与える必要 があります(詳細は後述)。
1.3 この記事で学べること
本記事では、以下の内容を詳しく解説します。
✅ NTFS-3GとNTFS3の違い(どちらを使うべきか?)
✅ UbuntuでNTFSをマウントする方法(手動・自動)
✅ NTFSパーティションのアクセス権限設定
✅ よくあるトラブルの解決策
Ubuntu初心者でも実践できるように、具体的なコマンドや設定例を紹介 しながら進めていきます。
2. NTFSをサポートする方法(NTFS3 vs NTFS-3G)
UbuntuでNTFSフォーマットのドライブをマウントするためには、主に2つの方法があります。
- NTFS-3G(従来の標準)
- NTFS3(カーネル組み込みの新しい方式)
それぞれの特徴と違いを理解し、自分の環境に合った方法を選ぶことが重要 です。
2.1 NTFS-3Gとは?
NTFS-3G は、LinuxでNTFSの読み書きを可能にするオープンソースのユーザースペースドライバ です。
✅ 特徴
- Ubuntuでは デフォルトでサポート されている
- 読み書きが安定している
- アクセス権限(パーミッション)を細かく管理できる
- FUSE(ユーザースペースのファイルシステム) を利用
✅ メリット
- 安定性が高い(長年使われており、バグが少ない)
- すべてのUbuntuバージョンで利用可能
- fstab設定で簡単に自動マウントできる
⚠️ デメリット
- カーネルモードではなく、ユーザースペースで動作するためパフォーマンスが低い
- 最新のNTFS機能には完全対応していない
2.2 NTFS3とは?
NTFS3 は、Linuxカーネル5.15以降に標準搭載されたカーネル内のNTFSドライバ です。
✅ 特徴
- Linuxカーネルに組み込まれている
- NTFS-3Gよりもパフォーマンスが大幅に向上
- カーネルレベルで直接動作するため、高速なファイルアクセスが可能
✅ メリット
- 高速な読み書き(NTFS-3Gよりも20〜30%速い)
- カーネル標準機能なので、追加のパッケージが不要
- 新しいNTFSの機能(圧縮、拡張属性など)にも対応
⚠️ デメリット
- Ubuntu 22.04以降でのみ利用可能(古いバージョンでは使えない)
- パーミッションの管理が不完全(
chown
やchmod
が効かない) - fstabでの設定がやや複雑
2.3 NTFS-3G vs NTFS3の比較
どちらの方法を選ぶべきか、違いを表にまとめました。
機能 | NTFS-3G | NTFS3 |
---|---|---|
速度 | 遅い | 速い |
書き込み対応 | 〇 | 〇 |
アクセス権限の管理 | 細かく設定可能 | 限定的 |
Ubuntuの対応バージョン | すべてのバージョン | 22.04以降 |
fstabでの自動マウント | 簡単 | 可能だがやや複雑 |
推奨環境 | 互換性重視・安定性重視 | パフォーマンス重視 |
2.4 どちらを選ぶべきか?
Ubuntuのバージョンや用途によって選ぶべき方法が異なります。
✅ NTFS-3Gを選ぶべきケース
- Ubuntu 20.04以前を使用している
- 安定性を重視したい(長年の実績があるため安心)
- アクセス権限の管理をしっかりしたい(
chmod
やchown
が使える) - fstabで簡単に自動マウントしたい
✅ NTFS3を選ぶべきケース
- Ubuntu 22.04以降を使用している
- NTFSパーティションを高速に扱いたい(大容量データのやり取りが多い場合)
- 追加パッケージを入れたくない(カーネル標準の機能を使いたい)
2.5 簡単な確認方法
自分のUbuntu環境で NTFS3が利用できるか を確認する方法は、以下のコマンドを実行することです。
ls /lib/modules/$(uname -r)/kernel/fs/ntfs3/
もし、ntfs3.ko
というファイルが存在していれば、NTFS3がカーネルに組み込まれている ことが分かります。
また、現在使用しているNTFSのマウント方式を確認するには、以下のコマンドを実行します。
mount | grep ntfs
これに ntfs3
もしくは ntfs-3g
が表示されていれば、現在のマウント方式が分かります。
まとめ
- Ubuntu 22.04以降ならNTFS3が推奨(パフォーマンスが速い)
- 安定性や互換性を重視するならNTFS-3G
- fstabで自動マウントを設定するならNTFS-3Gの方が簡単
- どちらを使っているかは
mount | grep ntfs
で確認可能

3. NTFS-3Gのインストール
UbuntuでNTFSパーティションを適切に読み書きできるようにするには、NTFS-3Gパッケージをインストールする 必要があります。NTFS-3Gは、Ubuntuの公式リポジトリで提供されているため、簡単なコマンドで導入可能 です。
3.1 NTFS-3Gとは?
NTFS-3G は、Linux上でNTFSファイルシステムを扱うためのドライバです。
デフォルトではUbuntuに搭載されていないため、手動でインストールする必要があります。
✅ 特徴
- NTFSのフル読み書き機能をサポート
- Ubuntu 20.04以前のバージョンでも利用可能
- アクセス権限を細かく設定できる
- FUSE(Filesystem in Userspace)を利用して動作
3.2 NTFS-3Gのインストール手順
UbuntuでNTFS-3Gを導入するには、以下の手順を実行します。
① パッケージリストを更新
まず、Ubuntuのパッケージリストを最新の状態に更新します。
sudo apt update
② NTFS-3Gをインストール
次に、以下のコマンドでNTFS-3Gをインストールします。
sudo apt install ntfs-3g
このコマンドを実行すると、UbuntuのリポジトリからNTFS-3Gがダウンロードされ、システムにインストールされます。
③ インストールの確認
インストールが正しく行われたかを確認するには、以下のコマンドを実行します。
ntfs-3g --version
バージョン情報が表示されれば、正しくインストールされています。
3.3 NTFS-3Gの動作確認
インストール後、NTFSパーティションを適切に認識できるか確認します。
① 接続されたNTFSパーティションの確認
まず、接続されているストレージデバイスを一覧表示します。
lsblk
または、より詳細な情報を取得するには fdisk
コマンドを使用します。
sudo fdisk -l
このコマンドを実行すると、接続されているディスクやパーティション情報が一覧表示されます。NTFSパーティションのデバイス名(例: /dev/sdb1
)を確認してください。
② NTFSパーティションのマウントテスト
手動でNTFSパーティションをマウントし、正常に読み書きできるかテストします。
- マウントポイントを作成
sudo mkdir /mnt/ntfs
- NTFSパーティションをマウント
sudo mount -t ntfs-3g /dev/sdb1 /mnt/ntfs
- マウントが成功したか確認
df -h | grep ntfs
このコマンドを実行すると、マウントされたNTFSパーティションが一覧表示されるはずです。
- 書き込みテスト(ファイルの作成)
sudo touch /mnt/ntfs/testfile.txt
エラーが出ずにファイルが作成できれば、NTFSパーティションに書き込みが可能 であることが確認できます。
3.4 既存のNTFSパーティションを修正する
NTFSパーティションが 破損していたり、マウントできない場合、以下のコマンドで修復できます。
sudo ntfsfix /dev/sdb1
ntfsfix の機能:
✅ NTFSの不整合を修正
✅ ジャーナルのクリア
✅ Windowsが自動修復できるようにフラグを設定
このコマンドを実行後、もう一度マウントを試してみてください。
まとめ
- NTFS-3GはUbuntuの公式リポジトリから簡単にインストール可能
- インストール後は
ntfs-3g --version
で確認 lsblk
やfdisk -l
でデバイスを確認し、マウントテストを実施ntfsfix
を使えば、NTFSパーティションの修復が可能
4. NTFSパーティションのマウント方法
UbuntuでNTFSパーティションを使用するためには、適切にマウント(ファイルシステムをOSに認識させること)する必要があります。本セクションでは、手動マウントと自動マウント(fstab設定)の2つの方法を詳しく解説します。
4.1 手動でNTFSパーティションをマウントする
まず、USBメモリや外付けHDDなどのNTFSパーティションを手動でマウントする方法を解説します。
① 接続されているデバイスの確認
NTFSパーティションが接続されているかを確認するために、以下のコマンドを実行します。
lsblk
または、より詳細な情報を取得するには fdisk
コマンドを使用します。
sudo fdisk -l
これにより、システムに接続されているストレージデバイスの一覧が表示されます。NTFSパーティションがどのデバイス名で認識されているか(例: /dev/sdb1
)を確認してください。
② マウントポイントの作成
NTFSパーティションをマウントするためのディレクトリ(マウントポイント)を作成します。
sudo mkdir -p /mnt/ntfs
/mnt/ntfs
は、NTFSドライブをマウントするための場所です。任意の名前で作成しても構いません。
③ NTFS-3Gを使用してマウント
以下のコマンドを実行して、NTFSパーティションをマウントします。
sudo mount -t ntfs-3g /dev/sdb1 /mnt/ntfs
このコマンドが成功すると、/mnt/ntfs
以下でNTFSパーティションにアクセスできるようになります。
④ マウントの確認
マウントされたNTFSパーティションが正しく認識されているか確認するには、次のコマンドを実行します。
df -h | grep ntfs
または、以下のコマンドでマウント情報を表示できます。
mount | grep ntfs
⑤ 書き込みテスト
マウントされたNTFSパーティションに書き込みができるか確認するため、以下のコマンドを実行します。
sudo touch /mnt/ntfs/testfile.txt
エラーが出ずにファイルが作成できれば、書き込みが可能な状態になっています。
⑥ アンマウント
NTFSパーティションを安全に取り外すには、umount
コマンドを実行します。
sudo umount /mnt/ntfs
もし「使用中でアンマウントできない」というエラーが出た場合は、以下のコマンドを試してください。
sudo fuser -k /mnt/ntfs
sudo umount /mnt/ntfs
4.2 自動マウント(/etc/fstab の設定)
手動で毎回マウントするのは面倒なので、システム起動時に自動でNTFSパーティションをマウントする設定を行います。これには /etc/fstab
を編集します。
① NTFSパーティションのUUIDを取得
fstabに設定するために、NTFSパーティションのUUID(識別子)を取得します。
blkid
出力結果の中に、NTFSパーティションのUUIDが表示されます。
/dev/sdb1: UUID="1234-ABCD" TYPE="ntfs" PARTUUID="abcd1234-5678"
この UUID="1234-ABCD"
をメモしておきます。
② /etc/fstab にマウント設定を追加
fstabファイルを編集します。
sudo nano /etc/fstab
ファイルの末尾に、次の行を追加します。
UUID=1234-ABCD /mnt/ntfs ntfs-3g defaults,uid=1000,gid=1000,umask=0002 0 0
③ 変更を適用
設定を反映するために、以下のコマンドを実行します。
sudo mount -a
エラーが出なければ、再起動後もNTFSパーティションが自動的にマウントされます。
reboot
4.3 NTFS3を使用してマウントする方法
Ubuntu 22.04以降では、NTFS3を使ってNTFSパーティションをマウントすることもできます。
① NTFS3でマウント
以下のコマンドでNTFS3ドライバを使ってマウントします。
sudo mount -t ntfs3 /dev/sdb1 /mnt/ntfs
② fstabでNTFS3を使用する場合
fstabを編集し、次の行を追加します。
UUID=1234-ABCD /mnt/ntfs ntfs3 defaults 0 0
変更を適用するには、
sudo mount -a
を実行し、エラーが出ないことを確認します。
まとめ
- 手動マウントは
mount -t ntfs-3g /dev/sdX /mnt/ntfs
- 自動マウントは
/etc/fstab
に設定 - NTFS3を使う場合は
mount -t ntfs3
を使用 umount
コマンドで安全に取り外し可能- fstabにUUIDを設定すると、再起動後も自動的にマウントされる
5. NTFSのアクセス権限設定
NTFSはもともとWindows向けのファイルシステムであり、Linuxの標準的なパーミッション管理(chmod
や chown
)とは異なります。そのため、適切に設定しないと「書き込み不可」「アクセス拒否」などの問題が発生する ことがあります。
このセクションでは、NTFSパーティションのアクセス権限を適切に設定し、Ubuntuで問題なく利用する方法 を解説します。
5.1 NTFSのアクセス権限の基本
Linuxで使われるファイルシステム(ext4 など)では、各ファイルやフォルダに所有者(user)、グループ(group)、その他(other) の権限を設定できます。しかし、NTFSはWindowsのACL(アクセス制御リスト)を使用しているため、Linuxのパーミッション管理がそのまま適用されません。
そのため、NTFSをマウントする際に適切なオプションを指定することで、アクセス権限を調整する必要があります。
5.2 NTFS-3Gを使用したアクセス権限の設定
NTFS-3Gを使ってマウントする際、uid
(ユーザーID)と gid
(グループID)を指定することで、特定のユーザーに書き込み権限を付与できます。
① 自分のユーザーID(UID)とグループID(GID)を確認
まず、現在のUIDとGIDを確認します。
id
出力例:
uid=1000(user) gid=1000(user) groups=1000(user),27(sudo),...
この場合、uid=1000
、gid=1000
を使用します。
② 手動マウント時にアクセス権限を設定
NTFSパーティションをマウントする際に、uid
と gid
を指定して自分のユーザーでアクセスできるようにします。
sudo mount -t ntfs-3g -o uid=1000,gid=1000,umask=0022 /dev/sdb1 /mnt/ntfs
③ fstabでアクセス権限を設定(自動マウント)
手動マウントだけでなく、fstabでアクセス権限を適切に設定した状態で自動マウント することも可能です。
sudo nano /etc/fstab
以下の行を追加します。
UUID=1234-ABCD /mnt/ntfs ntfs-3g defaults,uid=1000,gid=1000,umask=0022 0 0
編集が終わったら、変更を適用します。
sudo mount -a
5.3 NTFS3を使用したアクセス権限の設定
NTFS3(カーネル組み込みドライバ)では、NTFS-3Gのように uid
や gid
を指定することができません。そのため、マウント時に permissions
オプションを指定し、WindowsのACLをエミュレートする形で管理 します。
① 手動マウント時の設定
sudo mount -t ntfs3 -o rw,permissions /dev/sdb1 /mnt/ntfs
② fstabでNTFS3を使用する場合
fstabを編集し、次の行を追加します。
UUID=1234-ABCD /mnt/ntfs ntfs3 defaults 0 0
変更を適用するには、
sudo mount -a
を実行し、エラーが出ないことを確認します。
5.4 ルート権限なしでNTFSを利用する
デフォルトでは、NTFSパーティションの書き込みには sudo
権限が必要になることが多いですが、一般ユーザーでも書き込みができるようにする設定 があります。
✅ fmask と dmask の設定
fstabで次のように設定します。
UUID=1234-ABCD /mnt/ntfs ntfs-3g defaults,uid=1000,gid=1000,fmask=0111,dmask=0000 0 0
5.5 NTFSのアクセス権限に関するトラブルシューティング
① 「書き込みができない」
原因
- Windowsの「高速スタートアップ」設定の影響
解決策
- Windowsで「高速スタートアップ」を無効化
② 「Permission denied(権限が拒否されました)」
原因
- マウント時に
uid
やgid
の指定がない
解決策
- 手動マウント時に
uid=1000,gid=1000
を指定
sudo mount -t ntfs-3g -o uid=1000,gid=1000 /dev/sdb1 /mnt/ntfs
- fstabの設定を修正
UUID=1234-ABCD /mnt/ntfs ntfs-3g defaults,uid=1000,gid=1000 0 0
その後、sudo mount -a
で適用。
まとめ
- NTFSはLinux標準のパーミッション管理と異なるため、マウント時に適切なオプションを指定することが重要
uid=1000,gid=1000
を指定すると、特定のユーザーにアクセス権を与えられる- fstabに設定すると、毎回手動でマウントする必要がなくなる
- NTFS3はパーミッションの管理が難しく、NTFS-3Gの方が細かい制御が可能
6. トラブルシューティング
UbuntuでNTFSパーティションをマウントして使用する際に、「書き込みができない」「マウントできない」「アクセスが拒否される」 などの問題が発生することがあります。このセクションでは、よくあるトラブルとその解決方法 について解説します。
6.1 NTFSパーティションが読み取り専用になる(書き込みできない)
✅ 症状
- NTFSパーティションをマウントしたが、書き込みができない
read-only file system
(読み取り専用ファイルシステム)というエラーが表示される
❌ 原因
- Windowsの「高速スタートアップ」が有効 になっている
- NTFSパーティションに破損があり、不整合が検出されている
- NTFS-3Gのマウントオプションが正しく設定されていない
🔧 解決策
✅ 方法1: Windowsの「高速スタートアップ」を無効化
- Windowsを起動する
- 「コントロールパネル」 → 「電源オプション」を開く
- 「電源ボタンの動作を選択する」をクリック
- 「現在利用可能ではない設定を変更します」をクリック
- 「高速スタートアップを有効にする」のチェックを外す
- 設定を保存し、Windowsを完全シャットダウンする
✅ 方法2: NTFSパーティションの不整合を修正
sudo ntfsfix /dev/sdb1
✅ 方法3: 書き込み可能なオプションでマウント
sudo mount -t ntfs-3g -o rw /dev/sdb1 /mnt/ntfs
6.2 「Permission denied(権限が拒否されました)」
✅ 症状
- NTFSパーティションにアクセスしようとすると「Permission denied」と表示される
❌ 原因
- NTFS-3Gのマウントオプションに
uid
やgid
が指定されていない /etc/fstab
の設定が適切でない
🔧 解決策
✅ 方法1: uid
と gid
を指定してマウント
sudo mount -t ntfs-3g -o uid=1000,gid=1000 /dev/sdb1 /mnt/ntfs
✅ 方法2: fstabの設定を修正
UUID=1234-ABCD /mnt/ntfs ntfs-3g defaults,uid=1000,gid=1000 0 0
その後、以下を実行。
sudo mount -a
6.3 「mount: unknown filesystem type ‘ntfs’」
✅ 症状
- NTFSパーティションをマウントしようとすると、「unknown filesystem type ‘ntfs’」というエラーが表示される
❌ 原因
- NTFS-3Gがインストールされていない
🔧 解決策
✅ 方法1: NTFS-3Gをインストール
sudo apt update
sudo apt install ntfs-3g
✅ 方法2: NTFS3の利用可否を確認
ls /lib/modules/$(uname -r)/kernel/fs/ntfs3/
6.4 fstabの自動マウントが動作しない
✅ 症状
/etc/fstab
に設定を追加したのに、再起動後にNTFSパーティションがマウントされない
❌ 原因
UUID
の指定が間違っている
🔧 解決策
✅ 方法1: UUIDを再確認
blkid
✅ 方法2: fstabの設定を修正
UUID=1234-ABCD /mnt/ntfs ntfs-3g defaults,uid=1000,gid=1000 0 0
その後、以下を実行。
sudo mount -a
6.5 「Device or resource busy(デバイスが使用中)」
✅ 症状
umount
コマンドを実行しても、「Device or resource busy」と表示され、アンマウントできない
❌ 原因
- NTFSパーティションが他のプロセスによって使用されている
🔧 解決策
✅ 方法1: 使用中のプロセスを特定し、終了
sudo fuser -m /mnt/ntfs
その後、プロセスを強制終了。
sudo fuser -k /mnt/ntfs
sudo umount /mnt/ntfs
✅ 方法2: 強制アンマウント
sudo umount -l /mnt/ntfs
まとめ
- 「読み取り専用になる」 →
ntfsfix
を試す、Windowsの高速スタートアップを無効化 - 「Permission denied(アクセス拒否)」 →
uid=1000,gid=1000
を設定 - 「unknown filesystem type ‘ntfs’」 →
ntfs-3g
のインストールを確認 - 「fstabの自動マウントが機能しない」 →
UUID
の誤りやマウントポイントの確認 - 「デバイスが使用中でアンマウントできない」 →
fuser
で使用中のプロセスを確認
7. FAQ(よくある質問)
UbuntuでNTFSパーティションを扱う際に、多くのユーザーが疑問に思う点をまとめました。トラブル発生時や設定時の参考にしてください。
7.1 NTFS-3GとNTFS3のどちらを使えばいいですか?
A: Ubuntu 22.04以降 を使っていて、パフォーマンスを重視するならNTFS3 を選びましょう。
互換性やアクセス権の細かい管理が必要ならNTFS-3G が適しています。
比較表
機能 | NTFS-3G | NTFS3 |
---|---|---|
速度 | 遅い | 速い |
書き込み対応 | 〇 | 〇 |
アクセス権限の管理 | 細かく設定可能 | 限定的 |
Ubuntuの対応バージョン | すべてのバージョン | 22.04以降 |
fstabでの自動マウント | 簡単 | やや複雑 |
推奨環境 | 安定性・互換性重視 | 高速性重視 |
7.2 NTFSドライブをUbuntuでフォーマットできますか?
A: はい、UbuntuでNTFSパーティションをフォーマットすることは可能です。ただし、フォーマットするとデータが消えるため注意してください。
フォーマット手順
sudo mkfs.ntfs -f /dev/sdX
(※ /dev/sdX
は適切なデバイス名に置き換えてください)
GPartedを使う方法
sudo apt install gparted
でインストールgparted
を起動- NTFSにフォーマットしたいディスクを選択
- 「フォーマット」→「NTFS」を選択
- 「適用」をクリックしてフォーマット実行
7.3 「権限が拒否されました」と表示された場合の対処法は?
A: アクセス権限の設定が適切でない 可能性があります。次の方法を試してください。
✅ 方法1: uid
と gid
を指定してマウント
sudo mount -t ntfs-3g -o uid=1000,gid=1000 /dev/sdb1 /mnt/ntfs
✅ 方法2: fstabの設定を修正
UUID=1234-ABCD /mnt/ntfs ntfs-3g defaults,uid=1000,gid=1000 0 0
その後、sudo mount -a
で適用。
✅ 方法3: Windows側でアクセス権限を修正
WindowsでNTFSパーティションのプロパティ → セキュリティ設定 を開き、適切なユーザーにフルコントロール権限を付与してください。
7.4 「NTFSドライブを安全に取り外す方法は?」
A: NTFSパーティションをUbuntuで安全に取り外すには、以下の手順を実行します。
✅ 手動でアンマウント
sudo umount /mnt/ntfs
✅ アンマウントできない場合(使用中)
sudo fuser -m /mnt/ntfs
sudo fuser -k /mnt/ntfs
sudo umount /mnt/ntfs
7.5 Windowsで使っていたNTFSドライブがUbuntuでマウントできません
A: Windowsの「高速スタートアップ」が有効になっていると、NTFSパーティションがロックされることがあります。
✅ 解決策: Windowsの高速スタートアップを無効化
- Windowsを起動し、「コントロールパネル」→「電源オプション」を開く
- 「電源ボタンの動作を選択する」をクリック
- 「現在利用可能ではない設定を変更する」をクリック
- 「高速スタートアップを有効にする」のチェックを外す
- Windowsをシャットダウンし、Ubuntuで再マウントする
7.6 「Device or resource busy(デバイスが使用中)」と表示され、アンマウントできない
A: 他のプロセスがNTFSパーティションを使用している可能性があります。
✅ 解決策: 使用中のプロセスを特定し、終了
sudo fuser -m /mnt/ntfs
sudo fuser -k /mnt/ntfs
sudo umount /mnt/ntfs
また、強制アンマウントする場合は以下を実行してください。
sudo umount -l /mnt/ntfs
7.7 fstabで設定したのに、NTFSパーティションが自動マウントされない
A: /etc/fstab
の記述ミスやUUIDの間違いが原因かもしれません。
✅ 方法1: UUIDを確認
blkid
✅ 方法2: fstabの設定を修正
UUID=1234-ABCD /mnt/ntfs ntfs-3g defaults,uid=1000,gid=1000 0 0
✅ 方法3: マウントポイントが存在するか確認
sudo mkdir -p /mnt/ntfs
✅ 方法4: 設定を適用
sudo mount -a
7.8 NTFSパーティションが「ディスクがいっぱい」と表示される
A: WindowsでNTFSボリュームの「クォータ」や「圧縮」が有効になっている可能性があります。
✅ 解決策
- WindowsでNTFSパーティションの「プロパティ」→「ディスクのクリーンアップ」を実行
- 圧縮やクォータ管理が有効なら無効化
- Windowsで「エラーチェック(chkdsk)」を実行
まとめ
- NTFS-3GとNTFS3の違いを理解し、環境に合ったものを選ぶ
- 書き込み不可の場合は、Windowsの「高速スタートアップ」を無効化
- 権限エラーが出る場合は
uid=1000,gid=1000
を設定 - fstabの設定ミスに注意し、UUIDを正しく設定する
- アンマウントエラーが出たら
fuser
で使用中のプロセスを確認