Ubuntuインストール時のエラーと解決策【原因別対処法】

目次

1. はじめに

Ubuntuは多くのユーザーに愛用されているLinuxディストリビューションですが、インストール時にエラーが発生することがあります。特に、初心者は「Ubuntuがインストールできない」「インストール途中で止まる」「エラーが出て進まない」といった問題に直面することが多いです。

本記事では、Ubuntuインストール時の一般的なエラーとその解決策を詳しく解説します。USBメディアの作成、BIOS設定、インストール中のエラー、WSL関連のエラーなど、さまざまなトラブルに対応する方法を紹介するので、Ubuntuをスムーズに導入したい方はぜひ参考にしてください。

2. インストール前の準備(失敗を防ぐチェックリスト)

Ubuntuのインストールをスムーズに進めるためには、事前準備が重要です。ハードウェアの要件を満たしているか、BIOS/UEFIの設定が適切か、インストールメディアが正しく作成されているかを確認しましょう。

ハードウェア要件の確認

Ubuntuをインストールする前に、システム要件を確認しておきましょう。特に、古いPCでは要件を満たさず、インストールが失敗することがあります。

最低システム要件(Ubuntu Desktop)

  • CPU:1GHz以上のプロセッサ
  • RAM:4GB以上(推奨8GB)
  • ストレージ:25GB以上の空き容量
  • USBポートまたはDVDドライブ(インストールメディア用)

サーバー版を使用する場合は、より高いスペックが必要になることがあります。

BIOS/UEFIの設定

近年のPCは「UEFI(Unified Extensible Firmware Interface)」を使用しています。Ubuntuのインストールを成功させるためには、BIOS/UEFI設定の見直しが必要です。

  1. Secure Bootを無効化
  • 多くのUEFI搭載PCでは「Secure Boot」が有効になっています。これがUbuntuのインストールを妨げる可能性があるため、無効化しましょう。
  • BIOS画面(F2やDelキーで起動)に入り、「Secure Boot」の項目を「Disabled」に設定する。
  1. UEFI/Legacyモードの確認
  • UbuntuはUEFIとLegacy(CSM)モードの両方で動作しますが、インストールメディアの作成方法に応じて適切な設定を行いましょう。
  • 一般的に、新しいPCではUEFIモードのままインストールするのが推奨されます。

USBメディアの作成

UbuntuのISOイメージをダウンロードし、USBメディアに書き込むことでインストールメディアを作成できます。

おすすめのツール

  • Windows:Rufus(GPT+UEFIで作成する)
  • Mac/Linux:Etcher(シンプルで使いやすい)

手順(Rufusを使用)

  1. UbuntuのISOファイルを公式サイトからダウンロードする。
  2. Rufusを起動し、ダウンロードしたISOファイルを選択。
  3. 「パーティションスキーム」を「GPT」、「ターゲットシステム」を「UEFI」に設定。
  4. 「スタート」ボタンを押してUSBメディアを作成。

これで、USBメディアが正しく作成され、Ubuntuのインストールがスムーズに進む可能性が高くなります。

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3. インストール時のエラーと解決策

Ubuntuのインストール中に発生するエラーは多岐にわたります。USBメディア関連の問題、インストール途中のフリーズ、パーティションエラーなど、さまざまなトラブルが考えられます。このセクションでは、それぞれのエラーと具体的な解決策を詳しく解説します。

A. インストール前に発生するエラー

インストールメディアの作成やPCの設定に問題があると、Ubuntuのインストーラーが起動しないことがあります。

「Bootable device not found(起動ディスクが見つからない)」

原因
  • BIOS/UEFIのブート設定が適切でない
  • USBメディアの作成が正しくできていない
  • USBポートの相性問題
解決策
  1. BIOS/UEFIの設定を確認
  • PC起動時に F2 または Del キーを押してBIOS設定画面に入る
  • 「Boot Order(ブート順)」を開き、「USB Drive」を最優先に設定する
  • 「Secure Boot」を無効化する
  • 「CSM(Compatibility Support Module)」を有効にする
  1. USBメディアを再作成する
  • RufusまたはEtcherを使用し、適切な設定でISOを書き込む
  • 「GPT + UEFI」でフォーマットする
  • 別のUSBメモリで試す
  1. 別のUSBポートに接続する
  • 特にUSB 3.0ポートでは認識されないことがあるため、USB 2.0ポートを試す

「ISOファイルが破損している」エラー

原因
  • ISOファイルのダウンロードが不完全
  • USBメディア作成時にエラーが発生した
解決策
  1. ISOファイルを再ダウンロード
  1. SHA256チェックサムを確認
   sha256sum ubuntu-xx.xx.iso
  1. USBメディアを再作成
  • RufusまたはEtcherを使って新たに書き込む

B. インストール中のエラー

「Ubuntuインストール時に黒画面になる(nomodesetの設定方法)」

原因
  • グラフィックドライバの互換性問題(特にNVIDIAやAMD)
  • カーネルオプションの設定不足
解決策
  1. GRUBブートオプションの変更
  • Ubuntuのインストールメディアから起動
  • 起動画面で Esc または Shift を押し、GRUBメニューを表示
  • 「Try Ubuntu without installing」にカーソルを合わせ、e キーを押して編集モードに入る
  • quiet splashnomodeset に変更
  • Ctrl + X で起動
  1. インストール後の追加対応
   sudo ubuntu-drivers autoinstall

「Failed to start Ubuntu live CD installer」

原因
  • USBメディアの読み込みエラー
  • ハードウェアの相性問題
  • ISOファイルが破損している可能性
解決策
  1. USBメディアの差し替え
  • 別のUSBメモリを使って新しくインストールメディアを作成
  1. 「Try Ubuntu」モードで起動
  • 「Try Ubuntu without installing」を選択し、手動でインストールを試す
  1. BIOS設定の見直し
  • 「Secure Boot」を無効化
  • 「USBレガシーサポート」を有効にする

C. インストール後の起動エラー

「GRUBが表示されずUbuntuが起動しない」

原因
  • GRUBブートローダーがインストールされていない
  • UEFI設定が適切でない
解決策
  1. ブートメニューからUbuntuを手動で起動
  • PC起動時に F12 または F9 キーを押してブートメニューを開く
  • Ubuntuのブートオプションを選択する
  1. GRUBの再インストール
   sudo mount /dev/sdaX /mnt
   sudo grub-install --root-directory=/mnt /dev/sda
   sudo update-grub

4. WSL(Windows Subsystem for Linux)関連のエラー

Windows Subsystem for Linux(WSL)を利用すると、Windows上でUbuntuを実行できます。しかし、WSLのインストールや起動時にエラーが発生することがあります。このセクションでは、WSLに関連する一般的なエラーとその解決策を解説します。

A. WSLインストール時のエラー

エラー「0x004000d(WSLが有効になっていない)」

原因
  • WSLがWindowsで有効化されていない
  • 必要なWindows機能がオフになっている
  • 仮想化技術(VT-x/AMD-V)が無効になっている
解決策
  1. WSL機能を有効化
  • 管理者権限でPowerShellを開き、以下のコマンドを実行:
    wsl --install
  • PCを再起動して、WSLが有効になっているか確認
  1. 必要なWindows機能を手動で有効化
  • 「コントロールパネル」→「プログラムと機能」→「Windowsの機能の有効化または無効化」を開く
  • 以下のオプションにチェックを入れて適用:
    • 「Linux用Windowsサブシステム」
    • 「仮想マシンプラットフォーム」
  • PCを再起動
  1. BIOS設定で仮想化技術を有効化
  • PC起動時に F2 または Del を押してBIOS設定画面を開く
  • 「Virtualization Technology(VT-x/AMD-V)」を「Enabled」に変更
  • 設定を保存して再起動

B. WSL起動時のエラー

エラー「0x800701bc(カーネルの更新不足)」

原因
  • WSL2用のLinuxカーネルが最新でない
  • WSL2を使用するには追加の更新が必要
解決策
  1. WSL2カーネルを更新
  • Microsoftの公式サイトから WSL2 Linuxカーネル更新プログラム をダウンロード:
    https://aka.ms/wsl2kernel
  • ダウンロードしたファイルを実行してインストール
  • PCを再起動
  1. WSL2をデフォルトに設定
  • 管理者権限でPowerShellを開き、以下のコマンドを実行:
    wsl --set-default-version 2
  • Ubuntuを再インストールして、WSL2が適用されているか確認

エラー「UbuntuがWSLで起動しない」

原因
  • WSLの設定ファイルが破損している
  • Windows Updateの影響でWSLが動作しなくなった
解決策
  1. WSLを一度リセット
  • PowerShell を管理者権限で開き、以下のコマンドを実行:
    wsl --shutdown wsl --unregister Ubuntu wsl --install -d Ubuntu
  • これにより、WSL上のUbuntuを再インストールする
  1. WindowsのWSL設定をリセット
  • コマンドプロンプト を管理者権限で開き、以下を実行:
    net stop LxssManager net start LxssManager
  • WSLを再起動し、Ubuntuが正常に動作するか確認

C. WSL内でのパッケージエラー

WSLのUbuntuでパッケージの更新時にエラーが発生することがあります。

エラー「E: Unable to locate package」

原因
  • apt のパッケージリストが更新されていない
  • WSLのネットワーク設定が適切でない
解決策
  1. パッケージリストを更新
   sudo apt update
   sudo apt upgrade -y
  1. リポジトリを変更
  • sources.list を編集してミラーサーバーを変更:
    sudo nano /etc/apt/sources.list
  • http://archive.ubuntu.com/http://mirrors.ubuntu.com/ に変更

5. 追加の対策

Ubuntuのインストールが進まない、あるいは起動しない場合、基本的な対策を試しても解決しないことがあります。そのような場合の追加の対策を紹介します。これらの方法を試すことで、トラブルを回避できる可能性が高まります。

A. 「Try Ubuntu」モードでのインストール試行

Ubuntuのインストールが途中で停止する場合、「Try Ubuntu」モードを使ってシステムを起動し、問題を特定することができます。

手順

  1. USBメディアからUbuntuを起動
  • PCのBIOS設定でUSBブートを優先順位のトップに設定
  • UbuntuのインストールUSBを差し込み、PCを再起動
  • 起動画面で「Try Ubuntu without installing(インストールせずにUbuntuを試す)」を選択
  1. ライブ環境で動作確認
  • Ubuntuのデスクトップが表示されたら、Wi-Fi接続やディスクの認識状況を確認
  • ターミナルを開いて lsblk コマンドを実行し、ストレージが正しく認識されているかを確認
  • 問題がない場合は、ライブ環境から「Install Ubuntu」を起動して再度インストールを試す

「Try Ubuntu」でのエラーチェック

  • ディスクが認識されない → fdisk -lgparted を使用してストレージの状態を確認
  • ネットワークが動作しない → ip anmcli でネットワーク状況を確認

B. 別のUSBメディア・USBポートを試す

インストールが途中で止まる、USBメディアが認識されない場合は、以下の手順で解決できる可能性があります。

1. USBポートの変更

  • 特に USB 3.0(青いポート) では認識しない場合があるため、USB 2.0(黒いポート) に差し替えて試す。

2. 別のUSBメモリを使う

  • 使用しているUSBメモリが破損している可能性があるため、別のUSBメモリでインストールメディアを作成。

3. Rufusの設定を変更

  • GPT/UEFIモードで作成した場合、古いPCでは認識しないことがあるため、以下の設定を試す:
  • GPT + UEFI → MBR + BIOS(またはUEFI-CSM)
  • ファイルシステム:FAT32 でフォーマット

C. BIOS/UEFIのアップデート

BIOSのバージョンが古いと、新しいUbuntuバージョンとの互換性に問題が生じることがあります。

1. BIOSのバージョン確認

  • Windowsが動作する場合:
  wmic bios get smbiosbiosversion
  • Ubuntuが起動する場合:
  sudo dmidecode -s bios-version

2. BIOSのアップデート手順

  1. PCメーカーの公式サイトから最新のBIOSファームウェアをダウンロード
  2. USBメディアにファームウェアを保存
  3. BIOSのアップデートユーティリティを使用して更新
  4. 設定をリセット後、Ubuntuのインストールを再試行

D. Ubuntuの別バージョン(LTS or 最新版)を試す

最新のUbuntu(通常版)は新しいハードウェアとの互換性が向上している一方で、安定性の高いLTS(Long Term Support)版 が動作しやすい場合があります。

1. LTS版と最新安定版の比較

Ubuntuバージョン特徴
Ubuntu LTS(例: 22.04 LTS)長期サポート(5年間)、安定性重視
最新版(例: 23.10)新機能が多いが、不安定なことも

2. ダウンロード方法

3. 過去のバージョンを試す

  • 特定のハードウェアでは、古いUbuntuの方が安定することがある。
  • old-releases.ubuntu.com から過去のバージョンをダウンロード。

6. 【Q&A】Ubuntuインストールでよくあるエラーと解決策

Ubuntuのインストール時に発生しやすいエラーや疑問に対する解決策をまとめました。多くのユーザーが直面する問題を取り上げているので、インストールに困った際はこのQ&Aを参考にしてください。

Q1: Ubuntuのインストール中に画面が黒くなる(フリーズする)

原因

  • グラフィックドライバの互換性(特にNVIDIA/AMD)
  • カーネルパラメータが適切でない

解決策

  1. GRUBで「nomodeset」オプションを設定
  • UbuntuのインストールUSBから起動し、GRUBメニューを表示(Esc または Shift を押す)
  • 「Try Ubuntu without installing」を選択し、e を押して編集モードへ
  • quiet splash の部分を nomodeset に変更
  • Ctrl + X を押して起動
  1. インストール後にグラフィックドライバを更新
   sudo ubuntu-drivers autoinstall
   sudo reboot

Q2: WSLでUbuntuをインストールしようとするとエラーが出る

主なエラーと対策

エラーコード原因解決策
0x004000dWSLが有効化されていないwsl --install を実行
0x800701bcカーネルが古いWSL2カーネル更新プログラム をインストール
Ubuntuが起動しないWSLの設定が壊れているwsl --shutdownwsl --unregister Ubuntu

Q3: 「No bootable device found」と表示される

原因

  • Ubuntuが正しくインストールされていない
  • GRUBブートローダーが壊れている
  • BIOSのブート順が間違っている

解決策

  1. BIOS設定を確認
  • F2Del を押してBIOSに入り、「Boot Order」でUbuntuのディスクを最優先に設定
  1. GRUBを再インストール
   sudo mount /dev/sdaX /mnt
   sudo grub-install --root-directory=/mnt /dev/sda
   sudo update-grub
   sudo reboot

Q4: Ubuntuのインストールメディアが作成できない

原因

  • ISOファイルが破損している
  • USBメディアが不良
  • Rufusの設定が適切でない

解決策

  1. ISOファイルを再ダウンロード
  • 公式サイトから取得し、SHA256チェックサムで整合性を確認
    sha256sum ubuntu-xx.xx.iso
  1. 別のUSBメモリを試す
  • 古いUSBメモリでは不良セクタが原因で失敗することがある
  1. Rufusの設定を変更
  • MBR/BIOS互換モードで作成 → 古いPC向け
  • GPT/UEFIモードで作成 → 新しいPC向け

Q5: UbuntuをインストールしたらWindowsが起動しなくなった

原因

  • Ubuntuのインストール時にWindowsのブートローダーが上書きされた
  • GRUBの設定に問題がある

解決策

  1. GRUBのブートエントリを更新
   sudo update-grub
  1. Windowsのブートローダーを修復
  • WindowsのインストールUSBで起動し、「コマンドプロンプト」を開く
  • 以下のコマンドを実行
    bootrec /fixmbr bootrec /fixboot bootrec /scanos bootrec /rebuildbcd
  1. BIOSのブート優先順位を確認
  • Windows Boot Managerを最優先に設定し、GRUBメニューが表示されるか確認

7. まとめ

Ubuntuのインストールは、初心者でも比較的簡単に行えるものの、環境によってはさまざまなエラーが発生する可能性があります。本記事では、Ubuntuインストール時に起こりやすいエラーとその解決策を詳しく解説しました。以下に、重要なポイントをまとめます。

インストールを成功させるためのチェックポイント

  1. 事前準備をしっかり行う
  • ハードウェア要件の確認(RAM、ストレージ、CPU)
  • BIOS/UEFIの設定(Secure Bootの無効化、ブート順の確認)
  • 正しくUSBメディアを作成(RufusまたはEtcherを使用)
  1. インストール中のトラブルに備える
  • USBメディアが認識されない場合
    • 別のUSBポートやUSBメモリを試す
    • BIOSでブート設定を確認
  • 画面が黒くなったりフリーズする場合
    • GRUBで nomodeset を設定する
  • パーティションエラーが発生する場合
    • GPartedを使用して手動でパーティションを設定
  1. インストール後のトラブルシューティング
  • GRUBが見つからない場合
    • GRUBを再インストール
  • Windowsが起動しなくなった場合
    • bootrec /fixmbr などのコマンドで修復
  • WSLでUbuntuが動作しない場合
    • wsl --updatewsl --set-default-version 2 を実行

この記事の活用方法

  • Ubuntuのインストール前にチェックリストとして活用
  • エラーが発生したら該当するセクションを確認
  • FAQを見てよくある問題の対処法を把握

Ubuntuは強力なオープンソースOSであり、一度インストールが成功すれば高い安定性と自由度を享受できます。万が一インストールに失敗しても、本記事を参考に対策を試しながら進めてみてください。

これで、Ubuntuのインストールエラーとその解決策に関する総合的な解説が完了しました。最後までお読みいただき、ありがとうございました!🚀

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