Ubuntuのユーザー切り替え完全ガイド|GUI・コマンドラインでの方法と管理術

目次

1. はじめに

Ubuntuでのユーザー切り替えとは?

Ubuntuはマルチユーザー対応のLinuxディストリビューションであり、1台のPCやサーバーを複数のユーザーが使用できるようになっています。そのため、ユーザーアカウントを切り替える機能 は、個人利用から企業・教育機関・開発環境まで幅広く活用されています。

ユーザー切り替えを行うことで、個別の作業環境を保持しつつ、他のユーザーのデータや設定に影響を与えずに作業を進めることが可能 になります。

Ubuntuでユーザーを切り替えるシチュエーション

Ubuntuのユーザー切り替えが必要になる場面はいくつかあります。以下に主なシナリオを紹介します。

1-1. 家庭でPCを共有している場合

Ubuntuを家族で共用している場合、個々のアカウントごとにデスクトップ環境や設定を保持するため、ユーザー切り替えが必要 です。例えば、親のアカウントと子供のアカウントを分けることで、学習用途と仕事用途の環境を明確に分けることができます。

1-2. 企業や教育機関での利用

企業や学校では、一つのPCを複数の従業員や学生が使用することがあります。その際、各ユーザーが個別のデータと設定を保持するためにアカウントを切り替えることが必須 になります。
また、システム管理者は特権アカウント(root権限)を使用する必要があるため、管理業務を行う際にもユーザー切り替えが求められます。

1-3. サーバー管理でのユーザー切り替え

Ubuntuサーバーでは、特定のユーザーアカウントを使用してアプリケーションやサービスを実行するケースが一般的 です。例えば、

  • 一般ユーザーとしてログイン → 必要なときだけ管理者権限に切り替える
  • 特定のシステムサービスを管理するために特定のユーザーに切り替える

このようなシナリオでは、コマンドライン(CLI)を使ったユーザー切り替えが頻繁に行われます。

1-4. 開発環境で異なるユーザーを使用

開発者が異なるユーザーを切り替えてテストを行うこともあります。例えば、

  • 通常の開発作業は一般ユーザーで行う
  • 特定のアプリケーションの挙動を 別のユーザー環境でテスト する
  • rootユーザーで特定の管理作業を実施する

特に、異なる権限レベルでの動作確認が必要な場合、ユーザーの切り替えが重要 になります。

本記事で解説する内容

本記事では、Ubuntuでのユーザー切り替え方法を GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)コマンドライン(CLI) の両方の視点から解説します。また、sudoとsuの違い、SSH環境でのユーザー切り替え、エラートラブル対応 についても詳しく説明します。

2. Ubuntuのユーザー管理と切り替えの基本

Ubuntuはマルチユーザーシステム

LinuxベースのOSであるUbuntuは、複数のユーザーがログインできる仕組み を持っています。各ユーザーには専用のアカウントが割り当てられ、それぞれ独立した設定やデータを管理できます。

各ユーザーの環境の分離

Ubuntuでは、各ユーザーが以下のような個別の環境 を持っています。

  • ホームディレクトリ(例:/home/username/
  • 設定ファイル(アプリごとの個別設定)
  • 権限とアクセス制御(ファイルやコマンドの実行権限)
  • 実行中のプロセス(ログイン中のセッションやバックグラウンド処理)

この仕組みにより、異なるユーザーが同じUbuntuシステムを使用しても、互いの環境に影響を与えることなく利用できる ようになっています。

Ubuntuにおけるユーザーの種類

Ubuntuには、いくつかの異なる種類のユーザーが存在します。それぞれの役割を理解することで、適切にユーザーを管理し、切り替えることができます。

一般ユーザー

一般ユーザー(標準ユーザー)は、通常の操作を行うためのアカウントです。

  • ソフトウェアのインストールや設定変更には制限がある
  • 他のユーザーのデータにはアクセスできない(適切な権限がない場合)
  • 個人用のデータやアプリケーションを管理する

管理者ユーザー(sudoグループ)

管理者ユーザーは、sudo コマンドを使用して一時的にシステム管理者(root)の権限を得ることができます。

  • sudo を使うことで、ソフトウェアのインストールやシステム設定の変更が可能
  • Ubuntuの初回セットアップ時に作成されるアカウントが通常 sudo 権限を持つ

管理者ユーザーを確認するコマンド

getent group sudo

これにより、sudoグループに属するユーザーの一覧を取得できます。

rootユーザー

rootユーザーは、システム全体の完全な制御権を持つスーパーユーザーです。
Ubuntuでは セキュリティ上の理由から、デフォルトではrootユーザーが直接使用できない設定 になっています。

  • sudo コマンドを使って一時的にroot権限を利用するのが推奨される
  • 必要な場合のみ、sudo su または sudo -i を使用してrootシェルに入る

rootユーザーの有効化方法(推奨はされない)

sudo passwd root

rootユーザーのパスワードを設定すると、直接 su コマンドでrootとしてログインできるようになりますが、セキュリティ上のリスクがあるため注意が必要です。

ユーザー切り替え時に考慮すべきポイント

Ubuntuでユーザーを切り替える方法はいくつかありますが、環境や目的に応じて適切な方法を選択することが重要です。

GUIでの切り替え

デスクトップ環境を使用している場合、GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)での切り替えが最も簡単 です。

  • ロック画面を使った切り替え
  • ログアウト後に別のユーザーでログイン
  • 設定メニューからの切り替え

GUIでの切り替え方法は、次のセクション 「3. GUIでのユーザー切り替え方法」 で詳しく解説します。

CLI(コマンドライン)での切り替え

ターミナルを利用してユーザーを切り替える場合、主に su または sudo コマンドを使います。

suコマンド

別のユーザーに切り替える場合:

su [ユーザー名]

rootユーザーに切り替える場合:

su -

これは、現在のシェルをそのまま維持しながら、別のユーザーの環境に入る方法です。

sudoコマンド

一時的に管理者権限でコマンドを実行する場合:

sudo [コマンド]

rootとしてログインする場合:

sudo su

または

sudo -i

CLIでの詳細な操作は、後のセクション 「4. コマンドライン(CLI)でのユーザー切り替え」 で詳しく解説します。

セッションの保持と切り替え時の影響

  • GUIでのユーザー切り替え時は、前のユーザーのセッションが保持されるため、開いているアプリケーションも維持される
  • CLI(ターミナル)でユーザーを切り替えた場合、新しいセッションが開始され、前のセッションのプロセスには影響を与えない
  • su を使った切り替えでは、元のユーザーの環境変数が引き継がれる場合があるため、環境変数をリセットしたい場合は su - を使う

まとめ

  • Ubuntuはマルチユーザーシステムであり、ユーザーごとに独立した環境を持つ
  • 一般ユーザー、管理者ユーザー(sudo)、rootユーザー という異なる権限が存在する
  • GUIとCLIの2種類の方法でユーザーを切り替えられる
  • 環境や目的に応じて適切な切り替え方法を選択することが重要

3. GUIでのユーザー切り替え方法

Ubuntuのデスクトップ環境では、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI) を使用して、簡単にユーザーを切り替えることができます。コマンドラインを使うのが苦手な初心者でも直感的に操作できるため、最も手軽な方法の一つです。

このセクションでは、ロック画面からの切り替え、ログアウトしての切り替えの2つの方法を詳しく解説します。

3-1. ロック画面を利用してユーザーを切り替える

Ubuntuには、現在のセッションを維持しながら別のユーザーに切り替える機能 があります。例えば、家族でPCを共有している場合や、管理者が一時的に別のアカウントで作業したい場合に便利です。

ロック画面を使った切り替え手順

  1. 画面右上のシステムメニュー(パワーボタンのアイコン)をクリック
  2. 「ロック」ボタンをクリック
  3. 画面がロックされ、現在のユーザーのセッションが保持される
  4. ログイン画面で「ユーザーの切り替え」ボタンを選択
  5. 新しいユーザーを選択し、パスワードを入力してログイン

「ロック」ボタン

「ユーザーの切り替え」ボタン

画面右下「ユーザーの切り替え」

新しいユーザーを選択

新しいユーザーを選択する。

ロック画面を利用するメリット

前のユーザーのセッションが保持される
アプリや作業内容がそのまま残る
一時的なユーザー切り替えに適している

しかし、複数のユーザーがログインしたままだと メモリ消費が増える ため、システムリソースが限られている場合は注意が必要です。

3-2. ログアウトして別ユーザーでログイン

ロック画面を使用する方法とは異なり、ログアウトしてから新しいユーザーでログインする方法では、前のユーザーのセッションが完全に終了する 点に注意が必要です。

ログアウトしてユーザーを切り替える手順

  1. 画面右上のシステムメニューを開く
  2. 「ログアウト」をクリック
  3. 確認ダイアログが表示されるので、「ログアウト」を選択
  4. ログイン画面が表示される
  5. 新しいユーザーを選択し、パスワードを入力してログイン

ログアウトを利用するメリットとデメリット

前のユーザーのアプリやプロセスが完全に終了する(メモリ解放)
システムリソースを節約できる
前のユーザーの未保存データは失われる可能性がある
ユーザー切り替えのたびにアプリを再起動する必要がある

「ログアウト」をクリック
確認ダイアログ
ログイン画面

3-3. ユーザー切り替え時の注意点

切り替えによるパフォーマンスへの影響

  • ロック画面を使った場合は、前のユーザーのアプリがバックグラウンドで動作し続けるため、メモリ消費が増える
  • 低スペックなPCでは、複数のユーザーを同時にログインさせると動作が遅くなる
  • 特に、動画編集や仮想マシンを動かしている場合はリソース管理に注意が必要

切り替え時のデータ保存

  • 未保存のドキュメントやファイルは、切り替え前に保存しておく
  • アプリの自動保存機能がある場合でも、手動で保存しておくのが安全
  • 特にブラウザのタブやテキストエディタの編集内容に注意

3-4. まとめ

  • UbuntuではGUIを使って簡単にユーザーを切り替えられる
  • ロック画面を利用するとセッションが保持され、ログアウトすると完全に終了する
  • 設定メニューからの切り替えは、主に管理者がユーザーを管理する用途向け
  • メモリ消費や未保存データに注意しながら切り替えるのが重要

4. コマンドライン(CLI)でのユーザー切り替え

Ubuntuでは、コマンドライン(CLI) を使って簡単にユーザーを切り替えることができます。特に、サーバー環境やリモートアクセス時(SSH接続)では、GUIが使えないためCLIでの操作が必須 となります。

このセクションでは、suコマンド、sudoコマンド、SSH環境でのユーザー切り替え方法 について詳しく解説します。

4-1. suコマンドを使ったユーザー切り替え

su コマンド(Switch User)は、現在のユーザーを別のユーザーに切り替えるためのコマンドです。パスワードを入力することで、他のユーザーの環境にアクセスできます。

基本的なsuコマンドの使い方

別のユーザーに切り替える場合:

su [ユーザー名]

例:

su john

パスワードを求められるので、切り替え先ユーザーのパスワードを入力 します。

rootユーザーに切り替える

rootユーザーに切り替える場合:

su -

または

su root

rootユーザーには強力な管理権限があるため、誤った操作をしないよう注意が必要です。

su -(ハイフン付き)の違い

su コマンドには、susu - の2種類の使い方 があります。

コマンド動作
su [ユーザー名]環境変数を維持したまま、ユーザーを切り替える
su - [ユーザー名]完全に新しいログインセッションを開始する(環境変数リセット)

推奨されるのは su - です。
これは、新しいユーザーの環境変数(パス、シェル設定など)を正しく適用できるため です。

suを使う際の注意点

  • su を使用するには、対象ユーザーのパスワードを知っている必要がある
  • 管理者権限が必要な作業は、suの代わりに sudo を使うのが推奨される
  • suでrootになったままの状態は危険(作業が終わったら exit コマンドで元のユーザーに戻る)
exit

4-2. sudoコマンドを使ったユーザー切り替え

sudo コマンド(Superuser Do)は、一時的に管理者権限を取得してコマンドを実行するためのコマンドです。
suとは異なり、ユーザーのパスワードを知らなくても、管理者権限を持つユーザーであれば別のユーザーとして操作できます。

sudoを使った管理者操作

一時的に管理者権限でコマンドを実行する:

sudo [コマンド]

例:

sudo apt update

この場合、現在のユーザーのパスワードを入力 すれば、root権限でコマンドを実行できます。

sudoを使ってrootユーザーになる

一時的にrootとして作業する場合:

sudo su

または

sudo -i

これにより、rootユーザーに切り替わり、管理者権限のシェルを開くことができます。

sudoで別のユーザーとしてコマンドを実行

特定のユーザー権限でコマンドを実行する場合:

sudo -u [ユーザー名] [コマンド]

例:

sudo -u john whoami

このコマンドは、「john」というユーザーの権限で whoami を実行し、実際に実行されているユーザーを表示します。

sudoとsuの違い

コマンド目的必要なパスワード
su [ユーザー名]完全に別のユーザーに切り替え切り替え先ユーザーのパスワード
sudo [コマンド]一時的に管理者権限でコマンドを実行現在のユーザーのパスワード
sudo surootユーザーに切り替え現在のユーザーのパスワード

4-3. SSH環境でのユーザー切り替え

リモートサーバーに接続している場合、GUIは利用できないため、CLIを使ってユーザーを切り替える必要があります。

SSH接続後にsuで切り替え

まず、リモートサーバーに接続:

ssh [ユーザー名]@[サーバーのIPアドレス]

接続後に別のユーザーへ切り替える:

su [ユーザー名]

または、rootユーザーに切り替える:

su -

sudoを使ったリモートユーザー切り替え

管理者ユーザーの場合、sudo を使うことで、別のユーザー権限でコマンドを実行できます。

sudo -u [ユーザー名] -s

これは、su コマンドの代わりとして使える方法 です。

SSHログイン時に直接別のユーザーとして接続

UbuntuサーバーにSSHでログインする際、デフォルトではsudo権限のあるユーザーでログインする ことが多いですが、特定のユーザーとして直接ログインすることも可能です。

ssh [別のユーザー]@[サーバーのIPアドレス]

例:

ssh john@192.168.1.100

4-4. まとめ

  • su は完全に別のユーザーに切り替えるが、パスワードが必要
  • sudo は一時的に管理者権限でコマンドを実行できる
  • sudo susudo -i でrootユーザーに切り替え可能
  • SSH環境では、susudo -u を活用して適切にユーザーを管理する

5. Ubuntuのユーザー管理(追加・削除・変更)

Ubuntuでは、複数のユーザーを管理するために、新規ユーザーの追加、不要なユーザーの削除、ユーザー名の変更 などの操作を行うことができます。特に、サーバー管理や複数人でのPC共有時には、適切なユーザー管理が重要になります。

このセクションでは、CLI(コマンドライン)を用いたユーザー管理の方法 を中心に解説します。

5-1. 新規ユーザーの追加

Ubuntuでは、管理者権限を持つユーザー(sudo グループに属するユーザー)であれば、新しいユーザーを作成できます。

adduser コマンドを使ったユーザー作成

一般的に、新規ユーザーを作成するには adduser コマンドを使用します。

コマンド実行
sudo adduser [新しいユーザー名]

例:

sudo adduser john
処理内容

このコマンドを実行すると、以下の情報が求められます:

  1. パスワードの設定
  2. ユーザー情報(フルネーム、電話番号など)の入力(任意)
  3. ホームディレクトリ(/home/[ユーザー名])の自動作成
  4. 基本的な設定ファイルの配置

設定が完了すると、新しいユーザーアカウントが有効になります。

useradd コマンドを使ったユーザー作成

useradd コマンドもユーザー追加に使えますが、adduser とは異なり、ホームディレクトリの作成やパスワードの設定を自動で行いません

コマンド実行
sudo useradd -m -s /bin/bash [新しいユーザー名]

例:

sudo useradd -m -s /bin/bash alex

オプション:

  • -m :ホームディレクトリを作成
  • -s /bin/bash :デフォルトのシェルを bash に設定

パスワードを設定するには、以下のコマンドを実行:

sudo passwd alex

sudo 権限を持たせる

新しいユーザーを sudo グループに追加する場合:

sudo usermod -aG sudo [ユーザー名]

例:

sudo usermod -aG sudo john

このコマンドを実行すると、john ユーザーは管理者権限を持つようになります。

5-2. ユーザーの削除

不要なユーザーを削除することで、セキュリティを向上させ、システムリソースを節約できます。

deluser コマンドを使った削除

ユーザーを削除するには、deluser コマンドを使用します。

コマンド実行
sudo deluser [削除するユーザー名]

例:

sudo deluser john

このコマンドは、john ユーザーを削除しますが、ホームディレクトリはそのまま残ります

userdel コマンドを使った削除

userdel コマンドでもユーザーを削除できますが、deluser よりも低レベルな操作が可能です。

ホームディレクトリごと削除する場合
sudo userdel -r [削除するユーザー名]

例:

sudo userdel -r alex

このコマンドを実行すると、alex のホームディレクトリ(/home/alex/)も削除されます。

ユーザー削除時の注意点

  • データを保持したい場合は、ホームディレクトリをバックアップする
sudo tar -czf /backup/john_backup.tar.gz /home/john
  • 現在ログイン中のユーザーは削除できない
  • john でログインしている状態で sudo deluser john を実行するとエラーが発生します。
  • 必要に応じて、killall -u [ユーザー名] でプロセスを終了する。

5-3. ユーザー名の変更

作成したユーザーの名前を変更するには、usermod コマンドを使用します。

usermod を使ってユーザー名を変更

コマンド実行
sudo usermod -l [新しいユーザー名] [現在のユーザー名]

例:

sudo usermod -l michael john

これにより、john ユーザーが michael に変更されます。

ホームディレクトリの名前を変更

ユーザー名を変更すると、デフォルトではホームディレクトリ(/home/john)の名前は変わりません
ホームディレクトリの名前も変更する場合は、以下の手順を実行します。

ホームディレクトリの名前変更
sudo mv /home/john /home/michael
ホームディレクトリのパスを修正
sudo usermod -d /home/michael -m michael

ユーザー名変更時の注意点

  • ログイン中のユーザーは変更できない
  • john でログインしている状態で usermod を実行するとエラーが発生する
  • 必要なら root に切り替えて変更する
  • sudoグループの設定が影響を受ける場合がある
  • 変更後に sudo groupmems -g sudo -lmichaelsudo に属しているか確認する

5-4. まとめ

  • adduser コマンドで簡単に新規ユーザーを追加できる
  • deluser でユーザーを削除し、userdel -r でホームディレクトリごと削除可能
  • usermod -l でユーザー名の変更が可能だが、ホームディレクトリの変更も必要
  • ユーザー管理は慎重に行い、削除前にバックアップを取るのが推奨される

6. FAQ(よくある質問)

Ubuntuのユーザー切り替えや管理に関する操作は、多くのユーザーにとって重要な作業ですが、時には混乱することもあります。ここでは、頻繁に寄せられる質問とその解決方法 をまとめました。

6-1. Ubuntuでsuとsudoの違いは?どっちを使うべき?

Q: susudo の違いが分かりません。どちらを使うのが適切ですか?

A: su は完全に別のユーザーに切り替えるコマンドで、sudo は一時的に管理者権限を借りるコマンドです。

コマンド目的必要なパスワード
su [ユーザー名]完全に別のユーザーに切り替える切り替え先ユーザーのパスワード
sudo [コマンド]一時的に管理者権限でコマンドを実行現在のユーザーのパスワード
sudo surootユーザーに切り替える現在のユーザーのパスワード

💡 一般的には、セキュリティ面を考慮して sudo を使用するのが推奨 されます。

6-2. GUIでのユーザー切り替え時に毎回パスワードを入力しなくて済む方法は?

Q: 家族とUbuntuを共有しています。毎回パスワードを入力せずに簡単に切り替えたいのですが、どうすればいいですか?

A: 自動ログインを設定することで、パスワードなしでログインできるようになります。

自動ログインを有効にする方法

  1. 設定アプリを開く
  2. 「ユーザー」メニューを選択
  3. 「自動ログイン」を有効化

💡 注意: 自動ログインはセキュリティリスクがあるため、共有PCなどでの使用を推奨します。

6-3. リモート(SSH)環境でsudoなしでユーザーを切り替える方法は?

Q: SSHでリモートログインした際、sudo を使わずに別のユーザーへ切り替える方法はありますか?

A: runuser コマンドを使用すると、su の代わりにユーザー切り替えが可能です。

runuser -l [ユーザー名] -c "コマンド"

例:

runuser -l john -c "whoami"

💡 runuser は、スクリプトの中でユーザーを切り替える際に便利です。

6-4. ユーザー切り替え時に発生するエラーの対処法

Q: su コマンドを実行すると「Authentication failure」と表示されてしまいます。

A: su コマンドを使用するには、対象ユーザーのパスワードを入力する必要があります

また、以下の点を確認してください。

  • パスワードが正しいか?(Caps Lockがオンになっていないか)
  • ユーザーアカウントが無効化されていないか?
sudo passwd -S [ユーザー名]

L(locked)と表示される場合、sudo passwd -u [ユーザー名] で解除可能。

  • /etc/pam.d/su の設定でsuが制限されていないか?
sudo nano /etc/pam.d/su

auth required pam_wheel.so use_uid のコメントアウトを解除すると、wheel グループのユーザーのみ su を使えるようになる。

6-5. ユーザー削除後にデータを復元することはできる?

Q: 誤ってユーザーを削除してしまいました。データを復元する方法はありますか?

A: userdeldeluser を使ってユーザーを削除した場合でも、ホームディレクトリが削除されていなければデータを復元できます

削除されたホームディレクトリがあるか確認

ls /home/

ホームディレクトリが削除された場合の復元方法

もし /home/[ユーザー名] が削除されてしまった場合、バックアップがないと完全な復元は難しい ですが、以下の手順で試すことができます。

  1. extundelete をインストール
sudo apt install extundelete
  1. 削除されたファイルをスキャン
sudo extundelete /dev/sdX --restore-all

/dev/sdX は対象のパーティションを指定してください。(例:/dev/sda1

💡 注意: データ復元は100%成功するわけではありません。削除前に 重要なファイルは定期的にバックアップすることを強く推奨 します。

6-6. まとめ

  • susudo の違いを理解し、適切に使い分ける。
  • GUIでのユーザー切り替えをスムーズに行うため、自動ログインを設定できる。
  • SSH環境では runusersudo -u を活用してユーザーを切り替える。
  • su: Authentication failure のエラーが出た場合は、パスワードやアカウントのロック状態を確認。
  • ユーザー削除後のデータ復元は難しいため、バックアップを取るのが最善策。

7. まとめ

この記事では、Ubuntuでのユーザー切り替えと管理方法 について、GUIとCLIの両方の手法を詳しく解説しました。Ubuntuはマルチユーザー環境に対応しており、適切なユーザー管理を行うことで、より安全で快適なシステム運用が可能 になります。

以下に、各セクションの要点を振り返りながら、ユーザー管理のベストプラクティスをまとめます。

7-1. Ubuntuのユーザー切り替えの基本

  • Ubuntuはマルチユーザーシステム であり、各ユーザーが独立した環境を持つことができる。
  • 一般ユーザー、管理者(sudo権限)、rootユーザー の違いを理解することが重要。
  • ユーザー切り替えは GUIまたはCLI(コマンドライン) を使用して行う。

7-2. GUIでのユーザー切り替え

  • ロック画面を利用 すると、現在のセッションを保持したまま別のユーザーに切り替え可能。
  • ログアウトしての切り替え では、前のユーザーのセッションを完全に終了し、メモリを解放できる。
  • 「ユーザーアカウント」設定 から切り替えや新規ユーザーの追加が可能。
  • 注意点:
  • メモリの消費が増えるため、複数のユーザーが同時にログインしているとシステムが重くなることがある。
  • 切り替え前に 未保存のデータは保存 しておくこと。

7-3. CLI(コマンドライン)でのユーザー切り替え

  • su [ユーザー名] を使うと、パスワード入力後に別のユーザーに切り替えられる。
  • su -(ハイフン付き)を使うと、新しい環境変数が適用されるため、より安全な切り替えが可能
  • sudo [コマンド] を使えば、一時的に管理者権限でコマンドを実行できる。
  • SSH環境では runuser -l [ユーザー名] -c "[コマンド]" を使うと、sudoなしでユーザーの切り替えが可能。

7-4. ユーザーの追加・削除・変更

  • 新規ユーザーの追加
  • sudo adduser [ユーザー名] を実行すると、パスワード設定やホームディレクトリの作成が行われる。
  • sudo usermod -aG sudo [ユーザー名] で管理者権限を付与できる。
  • ユーザーの削除
  • sudo deluser [ユーザー名] で削除可能(ホームディレクトリはそのまま)。
  • sudo userdel -r [ユーザー名] でホームディレクトリも含めて削除。
  • ユーザー名の変更
  • sudo usermod -l [新しいユーザー名] [現在のユーザー名] で変更可能。
  • sudo mv /home/[旧ユーザー名] /home/[新ユーザー名] でホームディレクトリの名前も変更する。

ベストプラクティス:
ユーザー削除前にデータのバックアップを取る(特に重要ファイル)
管理者権限のあるユーザーを適切に設定するsudo グループの管理)

7-5. FAQでよくある疑問と解決策

  • susudo の違いを理解し、基本的には sudo の使用が推奨 される。
  • GUIでのパスワード入力を省略するには、自動ログインを設定(ただしセキュリティリスクあり)。
  • SSH環境で sudo なしでユーザーを切り替えるには、runuser コマンドを活用
  • su: Authentication failure エラーが出る場合は、パスワードやアカウントのロック状態を確認 する。
  • 誤って削除したユーザーのデータは extundelete などの復元ツールで復旧可能な場合があるが、バックアップが最も重要。

7-6. Ubuntuのユーザー管理のベストプラクティス

🔹 適切な権限管理

  • 一般ユーザーと管理者ユーザー(sudoグループ)の使い分けを明確にする。
  • sudo を利用する際は、visudo で特定のコマンドのみ許可する設定 も検討する。

🔹 セキュリティを意識した運用

  • rootユーザーを直接使用せず、必要なときだけ sudo を使う
  • パスワードなしのログインや自動ログインは慎重に設定(特に共有PCやサーバー環境では避ける)。
  • 不要なユーザーは定期的に削除し、システムの管理を徹底 する。

🔹 データのバックアップ

  • ユーザー削除前には、tar コマンドなどを使ってホームディレクトリのバックアップを取得
  • rsynccron を活用し、定期的なバックアップ体制を整える

7-7. まとめ

  • GUIとCLIの両方の方法を理解し、状況に応じて適切な方法でユーザーを切り替える。
  • susudo の使い分けを理解し、管理者権限を適切に設定する。
  • 不要なユーザーを削除し、セキュリティを確保する。
  • バックアップを習慣化し、万が一のトラブルに備える。

Ubuntuは強力なユーザー管理機能を備えているため、適切に運用すれば、安全かつ快適にシステムを使用できる ようになります。本記事が、Ubuntuでのユーザー切り替えや管理を理解し、実践する際の参考になれば幸いです。