1. はじめに
Ubuntuは、Linuxディストリビューションの中でも特に人気が高く、初心者から上級者まで幅広いユーザーに利用されています。しかし、いざUbuntuを導入しようとすると、「Desktop版」と「Server版」という2つの選択肢があることに気づき、「どちらを選ぶべきなのか？」と迷ってしまう人は少なくありません。
特に、初めてLinuxを触る方や、自宅サーバーや開発用にUbuntuを使いたい方にとっては、どちらのバージョンが自分の目的に合っているのかを判断するのは難しいものです。
この記事では、「Ubuntu ServerとDesktopの違い」をわかりやすく解説し、それぞれの特徴や用途、どんな人に向いているのかを詳しく紹介していきます。また、後半では「どちらを選べばよいか？」についての具体的な指針や、よくある質問への回答も掲載しています。
「Ubuntuに興味があるけど、どのバージョンを使えばいいか迷っている」という方は、ぜひ最後までご覧ください。この記事を読めば、自分に最適なUbuntuの選び方がきっと見えてくるはずです。
2. Ubuntu Desktopとは？特徴・向いている人を解説
Ubuntu Desktopは、その名のとおりデスクトップPC向けに設計されたUbuntuのバージョンです。Linux初心者にも親しみやすく、WindowsやmacOSの代替として利用することができるため、幅広いユーザー層から支持されています。ここでは、Ubuntu Desktopの主な用途と特徴、どんな人に向いているかを解説します。
主な用途
Ubuntu Desktopは、日常的なパソコン作業に幅広く対応できるOSです。以下のようなシーンで活用されています。
- Webブラウジング（Firefoxなどのブラウザを使用）
- 文書作成や表計算（LibreOfficeが標準搭載）
- 動画・音楽の再生（VLCなどのメディアプレイヤーを利用可能）
- メールの送受信（Thunderbirdなど）
- プログラミング学習や開発用途（Python、C、Javaなど各種開発環境が整っている）
これらの用途は、WindowsやmacOSとほぼ同様に実現できるため、Linux初心者が初めて触るOSとしても非常に人気があります。
主な特徴
Ubuntu Desktopの最大の特徴は、GUI（グラフィカルユーザーインターフェース）を搭載している点です。これにより、コマンドラインに不慣れなユーザーでも、マウス操作やウィンドウベースの操作で直感的に使うことができます。
他にも以下のような特徴があります：
- 直感的な操作性
GNOMEというデスクトップ環境が採用されており、シンプルで使いやすいUIが提供されています。 - 豊富なアプリケーション
Ubuntuソフトウェアセンターを通じて、さまざまな無料アプリを簡単にインストール可能です。 - 日本語対応の容易さ
インストール時に「日本語」を選択するだけで、日本語入力やメニュー表示が簡単に設定できます。 - セキュリティと安定性
定期的なアップデートがあり、ウイルス対策ソフトを入れなくても安全性が高いのも魅力です。
向いている人
Ubuntu Desktopは、以下のようなユーザーに特におすすめです。
- Linuxを初めて使う初心者
- WindowsやmacOSの代わりとして使いたい人
- 日常的なパソコン作業を快適にこなしたい人
- 開発環境としてLinuxを活用したいプログラマー・学生
- GUI操作を重視するユーザー
3. Ubuntu Serverとは？初心者向けに用途や特徴を紹介
Ubuntu Serverは、その名のとおりサーバー用途に特化したUbuntuのバージョンです。一般的なパソコン操作を想定したUbuntu Desktopとは異なり、GUIを搭載せず、コマンドライン（CLI）ベースでの操作を前提とした設計になっています。軽量かつ高い安定性を誇り、企業や開発現場でも広く採用されています。
主な用途
Ubuntu Serverは、さまざまなサーバー環境に活用されています。以下のようなケースで特に力を発揮します。
- Webサーバー（Apache, Nginxなど）
- データベースサーバー（MySQL, PostgreSQLなど）
- ファイルサーバー（Samba, NFSなど）
- メールサーバー（Postfix, Dovecotなど）
- 仮想化・クラウド環境（KVM, LXD, OpenStackなど）
- VPN・リモート接続環境の構築
このように、Ubuntu Serverは「サービスを提供する側」としての利用を前提としたシステム構築に向いており、自宅サーバーから企業の本格的なインフラ運用まで幅広く対応しています。
主な特徴
Ubuntu Serverの特徴は、GUIを持たないことで実現される軽量性と柔軟性にあります。代表的なポイントを以下にまとめます。
- GUIなし＝リソース消費が少ない
デフォルトではグラフィカル環境が含まれておらず、その分、CPUやメモリの使用を最小限に抑えることが可能。これにより、処理能力を最大限に活かしたサーバー運用が可能になります。 - セキュリティと安定性が重視されている
Ubuntu Serverは長期間のサポート（LTS版で最長5年間）と、サーバー向けに最適化されたセキュリティアップデートが提供されており、安定稼働が求められる環境でも安心して利用できます。 - コマンドライン操作が前提
GUIを介さない分、Linuxの知識やCLIスキルが求められますが、その分柔軟性と操作の効率性が高まります。スクリプト化や自動化も容易です。 - 必要最小限の構成で導入できる
不要なソフトウェアが最初から含まれていないため、自分の目的に合わせて必要なパッケージだけを追加するミニマルな運用が可能です。
向いている人
Ubuntu Serverは、以下のようなユーザーに向いています。
- サーバー構築・運用に興味のあるエンジニア・技術者
- リソースの限られた環境で効率よく運用したい人
- コマンドライン操作に慣れている、または学ぶ意欲がある人
- 自宅でWebサーバーやVPN環境を構築したい人
- クラウドサービスや仮想化環境でUbuntuを使いたい人
初心者でも学習意欲があれば扱えますが、基本的なLinuxコマンドの知識があるとスムーズに使いこなせます。
4. Ubuntu DesktopとServerの違いを比較表で解説
Ubuntuには「Desktop版」と「Server版」という2つの主要なバージョンがありますが、両者はインターフェースや機能面、使用目的などにおいて大きな違いがあります。このセクションでは、初心者にもわかりやすくするために、それぞれの違いを表形式で比較しながら解説します。
主な違いを一覧表で確認
| 項目 | Ubuntu Desktop | Ubuntu Server |
|---|---|---|
| ユーザーインターフェース | GUI（グラフィカル環境）あり | CLI（コマンドライン）操作が基本 |
| 用途 | デスクトップ作業全般（ブラウジング、文書作成など） | サーバー構築・運用（Web、DB、VPNなど） |
| 対象ユーザー層 | 初心者〜中級者 | 中級者〜上級者（CLI操作に慣れている人） |
| リソース使用量 | 高め（GUIによるメモリ・CPU消費） | 低め（軽量で高パフォーマンス） |
| 標準アプリケーション | LibreOffice、Firefox、Thunderbirdなどが標準搭載 | 最小限の構成（必要に応じてインストール） |
| カスタマイズ性 | 限定的（GUIベースで簡単に設定） | 高い（用途に応じて自由に構成可能） |
| セキュリティと安定性 | 標準的なレベル | 長期サポートやセキュリティパッチが充実 |
違いを理解するポイント
- GUIの有無が最大の違い
Ubuntu DesktopはGUIによる操作が可能で、初心者でも扱いやすい点が魅力です。一方、Ubuntu ServerはあえてGUIを排除し、軽量化と効率性を重視した構成になっています。 - 使う目的で選ぶべき
パソコンとして使うならDesktop版、何かのサービスを提供するサーバーを構築したいならServer版が最適です。 - 学習・開発環境にも差がある
Desktop版はローカル開発用に適しており、Server版は本番環境の構築やネットワークサービスの提供に向いています。
選択に迷ったときの考え方
「自分はGUI操作がないと困る」「メールやオフィスソフトも必要」という方は、まずはDesktop版を使ってみるのがおすすめです。
逆に、「Linuxのコマンドを学びたい」「Webサービスを自分で立ち上げたい」という方には、Server版が良い選択肢となるでしょう。
5. 【比較表あり】あなたに合うのはどっち？用途別おすすめバージョン
「Ubuntu DesktopとServerの違いは理解したけれど、自分にはどちらが合っているのだろう？」と悩む方は少なくありません。このセクションでは、ユーザーの目的やスキルレベルに応じたおすすめバージョンを紹介し、自分に合った選び方を明確にしていきます。
Ubuntu Desktopを選ぶべき人
以下のようなニーズや状況がある方には、Ubuntu Desktopをおすすめします。
- Linuxに初めて触れる初心者
- WindowsやmacOSの代わりに使いたい
- 日常的なPC作業（文書作成、Web閲覧など）をしたい
- GUIで操作したい（コマンド操作が苦手）
- プログラミング学習や開発環境として使いたい
Ubuntu Desktopは、GUIがあることで視覚的に分かりやすく、Windowsからの乗り換えでもスムーズに使える設計になっています。また、各種アプリケーションが初期状態で整っており、すぐに使い始めることができるのも魅力です。
Ubuntu Serverを選ぶべき人
一方、次のような用途やスキルを持つ方には、Ubuntu Serverが最適です。
- Webサーバーやデータベースサーバーを構築したい
- 自宅や企業でファイルサーバーを運用したい
- SSHやCLI操作に慣れている、または学びたい
- 仮想化環境やクラウド運用にUbuntuを使いたい
- GUIが不要でリソースを効率的に使いたい
Ubuntu Serverは、必要最低限の構成からスタートできるため、セキュアで軽量なサーバーを構築したい人にとっては非常に理想的です。CLIに慣れるまでは少し学習が必要ですが、その分カスタマイズの自由度が高く、目的に応じて柔軟に環境を構築できます。
用途別おすすめバージョン早見表
| ユーザーの目的・特徴 | おすすめバージョン |
|---|---|
| Linux初心者で、まずは試してみたい | Ubuntu Desktop |
| 普段使いのPCとして使いたい | Ubuntu Desktop |
| Web開発をGUI環境で行いたい | Ubuntu Desktop |
| サーバー運用・ネットワーク管理を学びたい | Ubuntu Server |
| 実際に公開サーバーとして利用したい | Ubuntu Server |
| 軽量・高速な環境を構築したい | Ubuntu Server |
6. よくある質問（FAQ）
Ubuntu ServerとDesktopの違いを理解しても、実際に使い始める前にはまだいくつか疑問が残ることがあります。このセクションでは、読者からよく寄せられる質問を取り上げ、わかりやすく解説していきます。
Q1. 初心者にはどちらが簡単に使えますか？
A. Ubuntu Desktopの方が初心者には扱いやすいです。
Ubuntu DesktopはGUI（グラフィカルユーザーインターフェース）に対応しており、アイコンやメニューをクリックするだけで操作できます。WindowsやmacOSと似た操作感のため、Linuxに不慣れな方でも直感的に使い始めることができます。
一方のUbuntu Serverは、基本的にすべての操作がコマンドラインベース。操作性や初期設定の難易度を考慮すると、まずはDesktop版から始めるのがおすすめです。
Q2. Ubuntu Serverに後からGUIをインストールできますか？
A. はい、可能です。ただし慎重に検討する必要があります。
Ubuntu ServerにGUIを追加することはできます。以下のようなコマンドでインストール可能です：
sudo apt update
sudo apt install ubuntu-desktopただし、GUIを導入するとメモリやCPUの消費が増加し、Server本来の軽量性や効率性が損なわれる可能性があります。サーバー用途である場合は、GUIではなくWebベースの管理ツール（例：Webmin）やSSHによるリモート操作を検討するのが一般的です。
Q3. Ubuntu Desktopをサーバーとして使うことはできますか？
A. 可能ですが、用途によっては最適とは言えません。
Ubuntu DesktopにもApacheやMySQLなどのサーバー用ソフトウェアをインストールすれば、サーバーとしての運用は可能です。
ただし、Desktop版には多くのGUIアプリや不要なサービスが含まれているため、パフォーマンスやセキュリティの面で不利になることがあります。簡単な開発環境やテスト用サーバーであれば問題ありませんが、本番環境での運用にはServer版が適しています。
Q4. LTS版って何ですか？DesktopとServerの両方にありますか？
A. LTS（Long Term Support）は「長期サポート版」のことで、DesktopにもServerにも用意されています。
LTS版では、セキュリティアップデートやバグ修正が5年間提供されるため、安定性が重視される環境に最適です。特にServer版では、LTSを選ぶことで長期にわたる安心・安全な運用が可能になります。
現在の最新LTSバージョンは「Ubuntu 22.04 LTS（Jammy Jellyfish）」です（※2025年4月時点）。
7. まとめ
Ubuntuには、「Desktop版」と「Server版」という2つの主要なバージョンが存在します。それぞれの特徴を理解することで、あなたに最適なUbuntu環境を選ぶことができます。
Ubuntu Desktopは、GUI（グラフィカルユーザーインターフェース）が搭載されており、初心者でも扱いやすいのが特徴です。普段使いのPCや、開発環境としてLinuxを利用したい方には非常に適しています。
一方で、Ubuntu Serverは、リソース消費が少なく、コマンドラインによる柔軟で効率的な操作が可能なサーバー向けのOSです。Webサーバーやデータベースサーバーを構築したい方、ネットワーク関連の知識を深めたい方には最適な選択肢となるでしょう。
本記事の要点を振り返ると…
- Ubuntu Desktopは初心者向けで、GUI操作が可能なオールインワン型OS
- Ubuntu Serverは中・上級者向けで、軽量かつ安定したサーバー運用が可能
- 用途やスキルに応じて選ぶことが重要
- どちらもLTS版を選べば長期サポートが受けられ、安心して利用できる
Ubuntuは、無料で使えるにもかかわらず、非常に高機能で信頼性の高いOSです。どちらのバージョンも、適切に選び・活用することで、あなたの目的に最適な環境を構築することができます。
初めての方はまずUbuntu Desktopから始め、慣れてきたらUbuntu Serverに挑戦するのも一つの方法です。自分に合ったスタイルで、Linuxの世界を楽しんでください。
