1. Ubuntuが起動しないトラブルとBoot Repairの必要性
Ubuntuが起動しないときに起きていること
Ubuntuを長く使っていると、ある日突然「Ubuntuが起動しない」という事態に直面することがあります。黒い画面のまま止まったり、「grub rescue」と表示されたり、まったく反応しなくなったりと、その症状はさまざまです。これは、主にブートローダー(GRUB)の問題によって発生するケースが多く、OS自体は壊れていなくても、起動に必要な“入り口”が機能していない状態といえます。
このような起動トラブルは、以下のような原因で発生します。
- GRUB設定ファイルの破損や削除
- ディスク構成の変更(例:パーティション操作、SSD換装など)
- Windowsとのデュアルブート環境での不整合
- UEFI/BIOSの設定変更
- カーネルアップデート後の不具合
Boot Repairとは?トラブル時に役立つ救世主
そんなときに活躍するのが「Boot Repair(ブートリペア)」というツールです。Boot Repairは、Ubuntuや他のLinuxディストリビューションの起動エラーを簡単に修復できる無料のツールで、数回のクリックだけでGRUBの問題を自動で検出し、修復してくれます。
特に初心者にとっては、ターミナル操作を極力避けながら問題解決できる点が大きなメリットです。Ubuntuの起動に失敗したとき、「再インストールしなきゃダメかも」と諦めてしまう前に、一度試してみる価値があります。
なぜBoot Repairを知っておくべきか?
起動トラブルは、ある日突然訪れます。普段Linuxに詳しくない人ほど、「原因がわからない」「どう対処すればよいかわからない」と感じるものです。しかしBoot Repairを知っておけば、多くの問題は再インストールすることなく、数分で修復できるようになります。
このあと解説する具体的な使い方を読めば、あなたも今日から「Ubuntuが起動しない!」と焦ることのない安心したLinuxライフを送れるようになるはずです。
2. Boot Repairとは?その機能とできること
Boot Repairとは何か?
Boot Repair(ブートリペア)は、Ubuntuやその他のLinuxディストリビューションにおける起動トラブルを簡単に修復するためのツールです。特にGRUB(GNU GRUB)と呼ばれるブートローダーの修復に特化しており、コマンドライン操作に不慣れなユーザーでも、GUIベースでトラブル解決ができるのが大きな特長です。
起動時に黒い画面のまま止まったり、「no such partition」「grub rescue」といったエラーメッセージが表示されたりする場合、このBoot Repairが非常に有効です。
主な機能一覧
Boot Repairは、以下のような多機能を備えています。
- GRUBの再インストール(grub-install)
- 起動不能な状態にあるGRUBを自動で再インストールします。
- GRUB構成ファイルの再生成(update-grub)
- OSの検出と起動エントリの再構築を行います。
- MBR(マスターブートレコード)の修復
- BIOSブート形式の場合、破損したMBRを復元可能です。
- EFIブートエントリの修正
- UEFI環境でも、必要に応じてEFIパーティションに修復を加えます。
- ブート情報のレポート生成
- 修復内容や状況を記録したログをURL形式で取得できます。これにより、フォーラム等で他のユーザーに状況を共有するのが容易になります。
対応OSと環境
Boot Repairは、以下のような環境で動作します。
- Ubuntu 12.04以降(22.04などの新しいLTS版でも利用可能)
- Debian系の派生ディストリビューション(Linux Mint, Zorin OSなど)
- BIOS(レガシー)およびUEFI両方のブートモードに対応
ただし、使用する上でいくつかの注意点もあります。例えばUEFIモードでは、正しいEFIパーティションがマウントされていないと修復がうまくいかないことがあります。後述するインストールや実行手順では、そういった注意点もカバーしていきます。
他の修復手段との違い
Boot Repairの最大の特徴は、「GUIで直感的に操作できる」という点です。通常、GRUBの修復は以下のような手順を手動で行う必要があります。
- Live USBでUbuntuを起動
- ターミナルで
mount
やchroot
を駆使 grub-install
やupdate-grub
を実行
これらの手順はLinux初心者にとってハードルが高く、ミスが起こりやすいのも難点です。その点、Boot Repairはそうした面倒な作業を「数クリック」で完了できるため、トラブル時の心強い味方になります。
3. Boot Repairの準備とインストール方法
Live USBの準備:まずはUbuntuを起動できる環境を整える
Ubuntuが起動しない状況では、通常の手段ではBoot Repairをインストールすることができません。そこでまず必要になるのが、Live USB(ライブUSB)を使って一時的にUbuntuを起動する方法です。
Live USBとは、USBメモリにUbuntuのインストーラーを入れて、PCをそこから起動する方法のことです。インストールせずにUbuntuを使えるため、トラブル対応にも最適です。
手順(簡略版):
- 別の正常なPCでUbuntuのISOイメージをダウンロード
- RufusやbalenaEtcherなどのツールでUSBメモリに書き込む
- 問題のPCのBIOS/UEFIからUSBブートを有効にし、Live起動する
- 「Ubuntuを試す」を選択し、デスクトップ環境を起動
※詳細なLive USB作成方法はUbuntu公式サイトでも案内されています。
Boot Repairのインストール手順
Live USBからUbuntuを起動したら、ターミナルを使ってBoot Repairをインストールしていきます。インストールはインターネット接続が必要になるため、Wi-Fiや有線LANでネットに接続しておくことが前提です。
インストールコマンド:
sudo add-apt-repository ppa:yannubuntu/boot-repair
sudo apt update
sudo apt install -y boot-repair
この手順を踏むことで、Boot RepairがLive環境にインストールされ、すぐに使用できる状態になります。
オフライン環境での注意点
Boot Repairは一部機能を除き、オフラインでも起動可能です。ただし、最新のパッケージを取得したり、ログを自動でアップロードしたりする機能は制限されるため、可能な限りインターネット環境を確保して使用することが推奨されます。
もしネットに接続できない場合は、事前にBoot Repairがあらかじめ組み込まれた「Boot-Repair-Disk」というISOイメージもあります。こちらを使えば、USBメモリやCDから直接Boot Repairを起動でき、ネット環境がなくても修復が可能です。
4. Boot Repairの使い方:おすすめの修復手順
Boot Repairの起動と基本画面の見方
Live USBからUbuntuを起動し、Boot Repairをインストールしたら、いよいよ修復作業を開始します。Boot RepairはGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)で操作できるため、ターミナル操作が苦手な人でも安心して使えます。
起動方法:
ターミナルで以下のコマンドを入力します。
boot-repair
起動後、しばらくするとウィンドウが表示され、システムの状態を自動でスキャンしてくれます。スキャンが完了すると、2つのオプションが表示されます。
- 「Recommended repair(推奨修復)」
- 「Advanced options(詳細設定)」
初心者や初めてBoot Repairを使う方は、基本的に「Recommended repair」を選ぶのが安全です。
「Recommended Repair」でGRUBを自動修復する
「Recommended repair」は、最も一般的なトラブル(GRUBの破損、起動エントリの欠落など)を自動で検出・修復してくれる便利な機能です。
操作手順:
- 「Recommended repair」ボタンをクリック
- 修復処理が開始され、ターミナル風のログ画面が表示される
- 数分〜十数分で処理が完了
- 結果として、修復内容をまとめたURLが提示される
このURLには、システム情報やログが含まれており、もし修復に失敗した場合でも、フォーラムなどで助けを求める際に役立ちます。
修復完了後の注意点:再起動前に確認すること
修復が完了したら、「再起動してください」と表示されます。しかし、再起動する前に次の点を確認しておきましょう。
- BIOS/UEFI設定で、正しい起動ドライブが選ばれているか
- 外付けストレージやUSBメモリが接続されたままになっていないか
- デュアルブートの場合、他のOS(例:Windows)も起動できるか確認予定か
とくにUEFI環境では、Boot Repairが新たなブートエントリを作成している可能性があります。起動順が変わってしまうこともあるため、必要に応じてBIOS設定を見直すと良いでしょう。
Boot RepairのログURLの活用法
修復結果として表示されるURLは、たとえば以下のような形式になります:
https://paste.ubuntu.com/p/abcd1234/
このリンクには、修復前後のシステム状態、GRUB設定、パーティション構成などが記録されています。修復に失敗した場合でも、この情報をUbuntuのフォーラムやQ&Aサイトに投稿すれば、他のユーザーから適切なアドバイスを得やすくなります。

5. 手動でのGRUB修復方法(Boot Repairで直らない場合)
Boot Repairで解決しないケースとは?
Boot Repairは非常に便利なツールですが、すべてのトラブルを自動で解決できるわけではありません。特に以下のようなケースでは、手動での修復が必要になることがあります:
- EFIパーティションのマウントに失敗している
- 複雑なマルチブート構成でGRUBが誤認識している
- ディスク構成に変更があり、自動検出がうまくいかない
- Boot Repair自体がクラッシュして起動できない
このような場合は、手作業でGRUBを再インストールすることで、起動トラブルを解決できます。
chrootを使ったGRUBの再インストール方法(BIOSモード)
手動修復にはLive USBでの起動→ルートファイルシステムのマウント→chroot環境への切り替えという流れが基本となります。
ステップ1:マウント作業(例では /dev/sda1 をUbuntuのルートパーティションと想定)
sudo mount /dev/sda1 /mnt
sudo mount --bind /dev /mnt/dev
sudo mount --bind /proc /mnt/proc
sudo mount --bind /sys /mnt/sys
ステップ2:chrootでシステム環境へ入る
sudo chroot /mnt
ステップ3:GRUBの再インストール
grub-install /dev/sda
update-grub
ステップ4:chroot環境を抜けて再起動
exit
sudo reboot
この手順により、GRUBが再構築され、Ubuntuが正しく起動する可能性が高まります。
EFI環境での修復:追加の注意点
UEFI環境では、上記に加えてEFIパーティション(通常は /boot/efi)のマウントが必要です。以下の手順を追加してください。
EFIパーティションのマウント(例:/dev/sda2 がEFIパーティション)
sudo mount /dev/sda2 /mnt/boot/efi
その後、chroot
してから以下を実行します。
grub-install --target=x86_64-efi --efi-directory=/boot/efi --bootloader-id=ubuntu
update-grub
UEFIでは特に、BIOS(UEFI設定)で「セキュアブート」が有効になっている場合、GRUBの読み込みに失敗することがあります。修復がうまくいかないときは、一時的にセキュアブートを無効化するのも有効な対策です。
高度な手動修復の例(参考)
複数のOSがインストールされているマシンでは、GRUB設定ファイル(/etc/default/grub
)を編集して、起動順や表示メニューをカスタマイズすることも可能です。
sudo nano /etc/default/grub
たとえば、GRUBメニューの表示時間を10秒に変更するには、以下のように編集します。
GRUB_TIMEOUT=10
編集後は update-grub
を実行して反映させましょう。
6. よくあるトラブル・ケーススタディ別対処法
Ubuntuの起動トラブルには、ユーザー環境ごとにさまざまなパターンがあります。このセクションでは、Boot Repairや手動修復を適切に使うために、よくあるケース別の原因と対処法を具体的に紹介します。
ケース1:Ubuntuのアップデート後に起動しなくなった
症状:
- アップデート後にGRUBが表示されない
- 黒い画面で止まる/ブートローダーが見つからない
原因:
- カーネルアップデートやGRUBの設定変更による不整合
対処法:
- Live USBからBoot Repairを起動し、「Recommended repair」を実行
- それでも解決しない場合、手動で
update-grub
を実行し、GRUB設定を再生成
sudo mount /dev/sda1 /mnt
sudo chroot /mnt
update-grub
ケース2:WindowsとのデュアルブートでUbuntuが起動しない
症状:
- Windowsしか起動しなくなった
- GRUBが消えてWindowsブートマネージャーに戻ってしまう
原因:
- Windowsの大型アップデートによりGRUBが上書きされた可能性
対処法:
- Live USBからBoot Repairを使ってGRUBを再インストール
grub-install /dev/sda
update-grub
- Boot Repair後、BIOS/UEFIのブート順を「Ubuntu」に変更
- Windows起動時の高速スタートアップを無効にすることも推奨
ケース3:SSDやHDDを交換・増設後に起動しない
症状:
- GRUBが表示されるがOSが見つからない
- 「unknown filesystem」「grub rescue」などのエラーが表示される
原因:
- ディスクのUUID変更やデバイス名(/dev/sdX)の変化によるGRUB設定の破損
対処法:
- Live USBから手動でルートパーティションをマウントし、
update-grub
で修正 - 必要に応じて
/etc/fstab
のUUIDも確認・修正
blkid # UUIDを確認
sudo nano /mnt/etc/fstab
ケース4:UEFIとBIOS設定の不一致でブートできない
症状:
- GRUBがインストールされたのに起動しない
- 「No bootable device」や「Missing OS」エラー
原因:
- UbuntuはUEFIでインストールされているのに、BIOS設定が「レガシー(CSM)」になっているなど、起動方式の不一致
対処法:
- BIOS設定で起動モードをUEFIに変更し、Boot RepairでEFIエントリを修復
efibootmgr
コマンドでエントリの確認と修正も可能(上級者向け)
sudo efibootmgr -v
ケース5:GRUBメニューが出ず、すぐUbuntuが起動する
症状:
- 起動はできるが、他のOS(Windows)が選べない
- GRUBメニューが一切表示されない
原因:
- GRUB設定ファイルでメニューが非表示になっている
対処法:
- GRUB設定ファイルを編集し、表示を有効化
sudo nano /etc/default/grub
# 以下のように編集
GRUB_TIMEOUT_STYLE=menu
GRUB_TIMEOUT=10
- 保存後に
update-grub
で反映させる
7. FAQ(よくある質問とその回答)
Ubuntuの起動トラブルやBoot Repairの使用に関して、多くのユーザーが疑問に思う点をQ&A形式でまとめました。この記事を参考に、スムーズなトラブル解決に役立ててください。
Q1. Boot Repairを使うにはインターネット接続が必要ですか?
A1.
必須ではありませんが、インターネット接続があるとより確実に修復できます。Boot Repairは、GRUBのパッケージを再インストールしたり、システムの状態をログとしてアップロードする機能があります。これらの操作にはネット接続が必要です。オフラインでも基本的な修復は可能ですが、ログ共有やアップデートは制限されます。
Q2. Boot Repairを使ったら、Windowsが起動できなくなりました。どうすればいいですか?
A2.
GRUBがWindowsを検出していない可能性があります。以下の手順で対応できます:
- Live USBでUbuntuを起動
boot-repair
で「Recommended repair」を再実行- または、手動で以下を実行してGRUB設定を更新
sudo mount /dev/sda1 /mnt
sudo chroot /mnt
update-grub
この操作で、GRUBメニューにWindowsの起動項目が再表示されるはずです。
Q3. GRUBメニューが表示されず、Ubuntuがそのまま起動してしまいます。
A3.
GRUBの設定でメニューが非表示になっている可能性があります。設定ファイルを編集して表示を有効化しましょう。
sudo nano /etc/default/grub
以下のように設定を変更します:
GRUB_TIMEOUT_STYLE=menu
GRUB_TIMEOUT=10
編集後はsudo update-grub
で反映してください。次回起動時にGRUBメニューが表示されるようになります。
Q4. Boot Repair実行後、黒い画面のまま進まないのですが?
A4.
修復は成功しているものの、ディスプレイドライバや起動時の構成が原因で画面が表示されないことがあります。以下をお試しください:
- GRUBメニューで「Advanced options」から別のカーネルで起動してみる
- GRUBメニューで
e
キーを押し、「quiet splash」を削除して詳細なログを確認する - リカバリーモードで起動し、ドライバ関連の問題をチェックする
Q5. Boot Repair実行後、BIOSの起動順が変わってしまいました。どうすればいいですか?
A5.
Boot Repairが新しいブートエントリを作成した場合、BIOS/UEFIの起動順序が書き換わることがあります。起動時にBIOS設定画面(DELキーやF2キーなど)を開き、「ubuntu」や「GRUB」が最上位になるよう起動順を設定し直してください。
Q6. EFIモードとBIOSモードがよくわかりません。Boot Repairはどちらでも使えますか?
A6.
Boot RepairはUEFI(EFI)モードとBIOS(レガシー)モードの両方に対応しています。ただし、Ubuntuをインストールしたときと同じモードでLive USBを起動する必要があります。インストールがUEFIモードであれば、Boot RepairもUEFIモードで実行してください。
8. まとめ:起動トラブルは怖くない。Boot Repairで簡単リカバリー!
Boot Repairのポイントを振り返る
- 初心者でも使えるGUIベースのツールで、クリック操作だけでGRUB修復が可能
- Live USBでの起動とインストールが前提だが、コマンド操作は最小限でOK
- 自動修復が効かない場合でも、手動でのGRUB再インストールを行うことで解決可能
- UEFI/BIOS環境の違いや、デュアルブート環境の特殊な事情にも柔軟に対応
- ログURLの活用やGRUBメニューの再構成など、実践的なノウハウも多数紹介
トラブルに備えるためにできること
Ubuntuを安心して使い続けるためには、以下のような予防策も大切です。
- 定期的にシステムのバックアップを取る(Timeshiftなどの活用)
- アップデートの前に復元ポイントを作成しておく
- UEFI/BIOSの設定を理解し、変更時は記録を取っておく
- Boot Repairを事前に知っておき、Live USB環境を準備しておく
いざというときに備えておくだけでも、気持ちの余裕が大きく変わります。
起動トラブルは「学びのチャンス」
ブートエラーやGRUBの問題は、Linuxに不慣れな方にとっては大きな壁に感じるかもしれません。しかし、こうした問題を乗り越えることで、UbuntuやLinuxに対する理解は大きく深まります。そして、Boot Repairはその「学びの第一歩」を支えてくれる強力なツールです。
今後もUbuntuを使い続けていく中で、万が一トラブルが起きたときは、ぜひ本記事を参考に落ち着いて対応してみてください。きっと、Linuxに対する自信が一歩高まるはずです。