Ubuntuで音が出ないときの完全対処法|初心者でもできる設定・ドライバー・トラブル解決ガイド

目次

1. 初期チェック

Ubuntuで音が出ないトラブルに直面した場合、まず最初に確認すべきは「基本的な設定や接続」に関するポイントです。高度なトラブルシューティングに進む前に、簡単なチェックで解決できることも多いため、このステップは非常に重要です。

システム音量とミュート設定を確認する

意外と見落としがちなのが、音量設定やミュート状態です。Ubuntuでは、システム全体の音量とアプリケーションごとの音量を個別に設定できるため、どこかがミュートになっていると音が出なくなります。

  1. 画面右上のスピーカーアイコンをクリックします。
  2. 音量スライダーが最小になっていないか、ミュートになっていないかを確認してください。
  3. 必要に応じて音量を上げ、スピーカーアイコンをクリックしてミュートを解除します。

また、アプリケーションごとの音量設定も確認できます。「設定」→「サウンド」→「アプリケーション」タブで、アプリがミュートになっていないかを確認しましょう。

正しい出力デバイスが選ばれているか確認する

Ubuntuでは、複数の音声出力デバイス(スピーカー、HDMI、Bluetoothなど)が検出されることがあります。意図していないデバイスが選択されていると、音が出ないように見えるだけの場合があります。

  1. 「設定」→「サウンド」を開きます。
  2. 「出力」タブを選択し、使用したいスピーカーやヘッドホンが選ばれているか確認します。
  3. 該当デバイスが表示されない場合は、接続が認識されていない可能性があるため、ケーブルやポートを再確認してください。

物理的な接続状態を確認する

ハードウェア側の問題も忘れてはいけません。とくに外部スピーカーやイヤホンを使用している場合、以下のポイントをチェックしましょう。

  • ケーブルがしっかりと接続されているか
  • ポートにホコリや異物が入っていないか
  • 他のデバイス(スマートフォンなど)に接続して、正常に音が出るか確認

これらを試すことで、Ubuntu自体ではなくハードウェアに原因があることを見抜けます。

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2. サウンド設定の確認と調整

Ubuntuで音が出ない原因の多くは、サウンド設定の不備や誤ったデバイスの選択によるものです。このセクションでは、システム設定画面から音声出力を正しく調整する手順を解説します。

出力デバイスを手動で切り替える

Ubuntuでは、自動で正しい出力デバイスが選ばれないことがあります。とくに、HDMIやBluetoothスピーカーを使用している場合は、手動で切り替える必要があります。

  1. 画面左下の「アクティビティ」から「設定」を開きます。
  2. 左メニューから「サウンド」を選択し、「出力」タブを表示します。
  3. 利用可能なデバイス一覧から、実際に使用しているスピーカーやイヤホンを選択します。

たとえば、スピーカーとHDMIモニターが両方接続されている場合、HDMIが自動的に優先されることがありますが、音がモニターから出力されないこともあります。その場合は、手動で「スピーカー(Built-in Audio)」などを選び直しましょう。

サウンドのテストを行う

出力デバイスを選んだあとは、Ubuntuに用意されているテスト機能で音が鳴るか確認できます。

  • 「サウンド」設定の出力デバイス選択画面で、「テスト」ボタンをクリックします。
  • 左右のスピーカーから音が聞こえるかチェックしてください。

もし音が片側からしか出ない、あるいはまったく聞こえない場合は、ハードウェアやケーブルにも原因がある可能性があります。

サウンドプロファイルの変更を試す

サウンドプロファイルが適切に設定されていないと、音が正常に再生されないことがあります。とくにBluetoothデバイスやUSBオーディオインターフェースを使用している場合に起こりやすい問題です。

  1. 「設定」→「サウンド」→「出力」タブでデバイスを選択
  2. 「プロファイル」の項目を確認します(表示されていない場合は「パルスオーディオ Volume Control(pavucontrol)」をインストールすると詳細に調整可能です)

場合によっては「High Fidelity Playback (A2DP Sink)」や「Digital Stereo Output」など、別のプロファイルに切り替えることで音が出るようになることがあります。

sudo apt install pavucontrol
pavucontrol

上記のコマンドをターミナルで実行すれば、より詳細な音声設定が行えるツールを使用できます。

3. PulseAudioのトラブルシューティング

Ubuntuでは、音声の管理に「PulseAudio(パルスオーディオ)」という音声サーバーが使用されています。システムやアプリの音声出力を一元管理する重要な役割を果たしているため、これに問題が生じると「音が出ない」状態になることがあります。このセクションでは、PulseAudioの基本的なトラブルシューティング方法をご紹介します。

PulseAudioを再起動する

もっとも簡単で効果的な対処法のひとつが、PulseAudioの再起動です。システム設定をいじる前に、まずこの手順を試す価値があります。

以下の手順で再起動を行ってください:

pulseaudio -k
pulseaudio --start

1つ目のコマンドでPulseAudioを強制終了し、2つ目で再起動します。Ubuntuでは、PulseAudioは通常自動で再起動しますが、手動で明示的に再起動することで不具合が解消するケースがあります。

サウンドサービスをリセットする

PulseAudioが正しく動作していない場合、設定ファイルの破損が原因である可能性もあります。その場合は、ユーザー設定をリセットして初期状態に戻すことが有効です。

  1. 以下のコマンドで設定フォルダを削除します(自動的に再作成されます):
rm -r ~/.config/pulse
  1. その後、PulseAudioを再起動します:
pulseaudio --start

この操作によって、カスタマイズした設定はすべて消去されますが、システムの標準動作に戻すことで多くの問題を解消できます。

pavucontrolで詳細設定を確認する

標準の「設定」メニューでは確認できない細かい情報をチェックするには、「PulseAudio Volume Control(pavucontrol)」の使用が便利です。

インストールと起動:

sudo apt install pavucontrol
pavucontrol

チェックすべきポイント:

  • 「出力デバイス」タブ:正しいデバイスがアクティブになっているか
  • 「再生」タブ:再生中のアプリケーションの音声出力がミュートになっていないか
  • 「構成」タブ:プロファイルが適切に設定されているか

このツールでは、アプリケーション単位で出力先を選べるため、複数の出力先を使い分けている場合には特に有効です。

4. ALSAの設定と確認

Ubuntuの音声システムは、基本的にALSA(Advanced Linux Sound Architecture)という低レベルのサウンドインターフェースの上に構築されています。PulseAudioはこのALSAを利用して音声のやりとりを行っているため、ALSA側に問題があるとPulseAudioだけをいじっても解決しないことがあります。

このセクションでは、ALSAに関連する確認方法と設定の見直し手順を紹介します。

alsamixerを使って音量とミュート状態を確認する

ALSAの音量設定は、ターミナル上で操作する「alsamixer」というツールを使って確認・調整できます。GUIでは表示されないミュート状態や入力・出力の切り替えができるため、非常に便利です。

1. ターミナルでalsamixerを起動

alsamixer

すると、以下のような画面が表示されます:

  • 左右にカーソルキーで移動
  • 上下キーで音量調整
  • Mキーでミュートのオン/オフ切り替え(MMが表示されていればミュート状態)

:ヘッドホンやスピーカーの出力が個別にミュートされている場合があります。すべてのチャンネルを確認しましょう。

2. サウンドカードを切り替えて確認

F6キーを押すと、システムに認識されているサウンドカードの一覧が表示されます。複数のデバイスがある場合は、該当するカードを選んでそれぞれの音量設定をチェックしてください。

サウンドカードの認識状況を確認する

Ubuntuがサウンドカード自体を正しく認識していない場合、音が出ない原因となります。以下のコマンドで、サウンドカードが認識されているか確認します。

lspci | grep -i audio

もしくはUSBデバイスであれば:

lsusb

ここでサウンドデバイスの名前が出力されない場合、ハードウェアが認識されていない可能性があります。その場合はBIOSの設定やドライバーの見直しが必要です。

ALSAをリセットして初期状態に戻す

設定の不具合や変更によりALSAが正しく動作していない場合は、設定ファイルをリセットして初期化する方法もあります。

sudo alsa force-reload

このコマンドを実行すると、ALSAのモジュールが再読み込みされ、基本的な設定がリセットされます。再起動もあわせて行うと効果的です。

5. ドライバーの確認と更新

Ubuntuで音が出ないトラブルの原因として、「オーディオドライバーの不具合」や「未適用」が挙げられます。とくに、Ubuntuをアップグレードした直後や新しいPCで初めてUbuntuをインストールした場合は、適切なドライバーが自動で適用されていないことがあります。

このセクションでは、オーディオドライバーの状態を確認し、必要に応じて更新する手順を紹介します。

利用可能なドライバーを確認する

Ubuntuには、ハードウェアに対応する推奨ドライバーを自動で検出する機能があります。以下のコマンドを使って、使用可能なドライバー一覧を確認しましょう。

sudo ubuntu-drivers devices

出力結果には、現在インストールされているドライバーや、推奨されるドライバー(recommended)が表示されます。もしサウンド関連のデバイスが表示されていない場合は、Ubuntuがそのデバイスを認識していない可能性があります。

推奨ドライバーの自動インストール

推奨ドライバーが表示された場合は、以下のコマンドで自動インストールが可能です。

sudo ubuntu-drivers autoinstall

このコマンドを実行することで、Ubuntuが検出したすべての推奨ドライバーを自動でインストールしてくれます。完了後は、必ずシステムを再起動してください。

sudo reboot

再起動後に音声が正常に出力されるようになっていれば、ドライバーの問題だったことが確認できます。

専用ドライバーのインストールが必要なケース

ノートパソコンやマザーボードに搭載された一部のオーディオチップ(特にRealtek製)では、Ubuntu標準のドライバーでは正しく動作しないことがあります。このような場合には、以下のような追加作業が必要になることもあります。

  • Realtek公式サイトからLinux向けドライバーをダウンロードして手動でビルド・インストール
  • UbuntuフォーラムやLaunchpadにあるパッチ済みドライバーを活用

ただし、これらの作業は中〜上級者向けですので、まずは標準機能でのインストール・更新で問題が解決するかを優先的に確認しましょう。

6. その他の対処法

基本的な設定やドライバー関連の確認を行っても音が出ない場合、よりシステム深部や環境に依存する要因が影響している可能性があります。このセクションでは、それらの追加対処法について解説します。

BIOSの設定を確認する

ハードウェアレベルでオーディオが無効化されていると、Ubuntu上ではいくら設定を調整しても音が出ません。特にデスクトップPCでは、BIOS設定でオンボードオーディオが無効になっているケースが稀にあります。

BIOSで確認すべき項目:

  • 「Onboard Audio」や「HD Audio」などの設定項目が「Enabled」になっているか
  • デバイスが「Auto」になっている場合は、明示的に「Enabled」に変更してみる

BIOS画面へのアクセス方法はPCメーカーによって異なりますが、起動時にF2Deleteキーを押すことで入れる場合が多いです。設定を変更したら保存して再起動しましょう。

カーネルのバージョンを変更する

まれに、特定のLinuxカーネルバージョンにおいて、サウンド関連の不具合が発生することがあります。こうした場合は、別のカーネルに切り替えて試すことで問題が解決することがあります。

1. 現在のカーネルバージョンを確認:

uname -r

2. 利用可能なカーネルを確認・インストール:

Ubuntuでは mainline リポジトリから別バージョンのカーネルを導入できます。GUIで簡単に管理したい場合は、mainline というツールの利用が便利です。

sudo apt install mainline
mainline

GUIが起動したら、安定している過去のバージョン(例:5.15系など)をインストールし、再起動後に音声が復活するか確認してください。

Ubuntuの再インストールも選択肢

ここまでの対策をすべて行っても解決しない場合、最終手段としてUbuntuの再インストールを検討してもよいでしょう。環境構築に時間がかかるため慎重に判断する必要はありますが、設定ファイルの破損やドライバーの競合が解消されることもあります。

7. FAQ(よくある質問)

Ubuntuで「音が出ない」トラブルは、使用環境や状況によってさまざまな原因が考えられます。このセクションでは、よく寄せられる質問とその対処法を簡潔にまとめました。

Q1. Ubuntuをアップグレードしたら音が出なくなったのですが、どうすればいいですか?

A.
アップグレード後に音が出なくなる原因として、オーディオドライバーの不整合や設定ファイルの破損が挙げられます。以下の手順を順番に試してください:

  1. pulseaudio -k でPulseAudioを再起動する
  2. pavucontrolをインストールし、正しい出力デバイスが選ばれているか確認する
  3. sudo ubuntu-drivers autoinstall でドライバーの自動再インストール
  4. 必要であれば、ALSAのリセット(sudo alsa force-reload

これで改善しない場合は、カーネルの切り替えを検討してみましょう。

Q2. HDMI接続しているモニターから音が出ません。どうすれば良いですか?

A.
HDMI接続時は、Ubuntuが出力先としてHDMIポートを正しく認識していない場合があります。

対処法:

  1. 「設定」→「サウンド」→「出力」で、「HDMI」もしくは「Digital Output (HDMI)」を選択
  2. 音声テストボタンで出力を確認
  3. pavucontrolを使って、アプリケーションごとの出力先をHDMIに変更する

それでも音が出ない場合、HDMIケーブルを別のポートに差し替える、もしくはカーネルの互換性をチェックしてみましょう。

Q3. 外部スピーカーから音が出ませんが、イヤホンでは聞こえます。なぜですか?

A.
この症状は、出力デバイスが「ヘッドフォン」に固定されているか、スピーカーの認識に問題がある可能性があります。

対処法:

  • 「設定」→「サウンド」→「出力」で「スピーカー(Built-in Audio)」を明示的に選択する
  • alsamixerを使って、スピーカーの音量やミュート設定を確認する
  • ハードウェアの問題(端子の接触不良やスピーカー側の故障)の可能性もあるため、別のスピーカーで試すのも有効です

Q4. パソコンを再起動するたびに音が出なくなります。毎回設定をし直さないといけませんか?

A.
これは設定が永続化されていないことが原因です。pavucontrolで出力デバイスを選択し、音が出る状態にしてからログアウト・再ログインを行い、設定が維持されるか確認してください。

それでも設定が初期化される場合は、PulseAudioの設定ファイルに保存権限がない、またはプロファイルが固定されていない可能性があります。その場合、以下のように設定を初期化して再構築すると改善することがあります。

rm -r ~/.config/pulse
pulseaudio --start

8. まとめ

Ubuntuで「音が出ない」という問題は、初心者から上級者まで多くのユーザーが一度は経験するトラブルです。しかし、その原因は設定ミスからドライバーの不具合、ハードウェアの問題までさまざまであり、焦らず段階的に対処することで解決できるケースがほとんどです。

本記事では以下のようなステップで問題を切り分け、解決する方法をご紹介しました:

  • 1. 初期チェック:音量やミュート、接続状態の確認
  • 2. サウンド設定の調整:出力デバイスやプロファイルの見直し
  • 3. PulseAudioの再起動・設定確認:音声サーバーの問題の切り分け
  • 4. ALSAでの詳細確認:低レベルの音声設定の確認と調整
  • 5. ドライバーの確認・更新:適切なドライバーの適用
  • 6. その他の対処法:BIOS設定やカーネル変更による解決
  • 7. FAQ:よくある質問とその具体的な対応策

Ubuntuの音声周りの設定は、グラフィカルな設定画面だけでは解決できないこともありますが、ターミナルのコマンドを活用することで細かい問題にも対応できます。特にpulseaudioalsamixerpavucontrolといったツールは、音声トラブル解決の鍵となる存在です。

それでも解決しない場合は、Ubuntuフォーラムや日本語のQ&Aサイト(例:teratail、Ask Ubuntu 日本語版)で同様のトラブル事例を調べることもおすすめします。似たような構成やハードウェアで起きたトラブルがすでに共有されている可能性があります。