1. はじめに
UbuntuでCPU温度を監視することは、システムのパフォーマンスを維持し、過熱による潜在的なダメージを防ぐために重要です。特に長時間の高負荷作業や環境温度が高い場合、CPU温度の監視はシステムの安定性を保つ上で欠かせません。本記事では、UbuntuでCPU温度を確認するためのさまざまな方法を紹介し、ユーザーのニーズに合わせたツールの選択をサポートします。
2. UbuntuでCPU温度を監視する重要性
CPU温度の監視は、システムのパフォーマンスと寿命に直接影響します。過熱はCPUのクロック速度を自動的に下げるサーマルスロットリングを引き起こし、パフォーマンスの低下を招きます。さらに、長期間の過熱はCPUや他のハードウェアコンポーネントに物理的な損傷を与える可能性があります。これを防ぐため、システムの正常な動作を確保し、故障を未然に防ぐために、CPU温度の定期的な監視が重要です。
3. Glancesを使った包括的なシステムモニタリング
Glancesは、CPU温度を含むさまざまなシステムメトリクスをリアルタイムで監視できる強力なツールです。システム全体の状態を一目で確認できるため、CPU温度だけでなく、メモリ使用率やディスクI/Oなどの情報も簡単に把握できます。
インストールとセットアップ
- Glancesをインストールするには、まずPythonのパッケージマネージャーであるpipを使用します。
bash sudo apt install python3-pip sudo pip3 install glances
- インストール後、以下のコマンドでGlancesを起動します。
bash glances
- Glancesが起動したら、
[f]
キーを押すことでCPU温度などのセンサー情報が表示されます:contentReference[oaicite:0]{index=0}。
ウェブサーバーモードでの利用
Glancesはウェブサーバーモードでも利用可能で、他のデバイスからWebブラウザを使ってシステム情報を確認することができます。このモードを利用するには、以下のコマンドを実行します。bash glances -w
ウェブブラウザから提示されたURLにアクセスすると、CPU温度を含むシステム情報を閲覧できます。
利点と制限
Glancesの最大の利点は、システム全体の詳細な情報を一目で確認できる点です。ただし、単にCPU温度だけを確認したい場合には、情報量が多すぎると感じるかもしれません。
4. lm-sensorsで直接センサー情報を取得する
lm-sensorsは、CPU温度を含むセンサー情報を直接取得できるシンプルなツールです。システム上のセンサー情報を表示するための最も直接的な方法として、多くのLinuxユーザーに利用されています。
インストールと設定
- lm-sensorsをインストールするには、以下のコマンドを実行します。
bash sudo apt-get install lm-sensors
- インストール後、システム上のすべてのセンサーを検出するために、以下のコマンドを使用します。
bash sudo sensors-detect
- いくつかのプロンプトに対して「YES」と入力して、センサーの検出を実行します。
CPU温度の表示
検出が完了したら、sensors
コマンドを使ってCPU温度を含むセンサー情報を表示できます。bash sensors
コマンドを実行すると、現在のCPU温度やその他のセンサー情報が表示されます:contentReference[oaicite:1]{index=1}。
利点と制限
lm-sensorsはシンプルで使いやすく、CPU温度を迅速に確認するのに適しています。しかし、詳細なシステム情報が必要な場合や他のデバイスからリモートで監視する場合には、Glancesなどのツールの方が適しているでしょう。
5. Thermal Zone情報を直接アクセスする方法
Ubuntuでは、システムのファイルシステムを通じて直接温度センサーの情報を取得することができます。これは最もシンプルな方法の一つで、追加のソフトウェアをインストールする必要がありません。
/sys/class/thermal/を使う
システムの温度センサー情報は、/sys/class/thermal/
ディレクトリ内に格納されています。CPU温度を確認するには、以下のようにコマンドを実行します。bash cat /sys/class/thermal/thermal_zone0/temp
出力される数値はミリ度単位の温度で、例えば27800
は27.8℃を意味します:contentReference[oaicite:2]{index=2}。
センサーの探索
システムによっては、複数のセンサーが存在する場合があります。各センサーの値を確認するには、thermal_zone*
ディレクトリを探索する必要があります。bash cat /sys/class/thermal/thermal_zone1/temp
利点と制限
この方法の利点は、追加のソフトウェアを必要としない点です。ただし、センサーの場所や名称がシステムごとに異なるため、探すのに時間がかかる場合があります。また、単位がミリ度で表示されるため、値を解釈する際に注意が必要です。
6. 各方法の比較
各ツールと方法には、それぞれ独自の利点と制限があります。Glancesは包括的なシステムモニタリングが可能で、リモートアクセスも提供しますが、情報量が多い点がデメリットです。一方、lm-sensorsはシンプルで直接的な方法でCPU温度を確認できるため、手軽に使えます。最後に、直接システムファイルにアクセスする方法は追加のソフトウェアを必要としませんが、情報がやや扱いにくい場合があります。
7. 結論
CPU温度の監視は、Ubuntuシステムのパフォーマンスと寿命を保つために非常に重要です。本記事では、Glances、lm-sensors、そして直接システムファイルにアクセスする3つの方法を紹介しました。それぞれのツールと方法には、ユーザーのニーズに応じて適した使い方がありますので、自分の環境に合った方法を選んでみてください。
8. 追加のヒントとトラブルシューティング
- よくある問題: センサーの情報が表示されない場合は、センサーが正しく認識されていない可能性があります。
sensors-detect
を再度実行してみてください。 - 高度な使用法: 温度監視を自動化したい場合、スクリプトにこれらのコマンドを組み込んで、定期的に監視したり、異常が発生したときにアラートを送信することが可能です。